リモートワークが変える今後の働き方

本格的にリモートワークが進んできましたね。私としては、
大企業  :緊急事態宣言中のみ一時的にリモート、明けたら出勤開始し徐々に出勤頻度を増やすこ
ベンチャー:緊急事態宣言明けても継続してリモートを積極採用(メガベンチャー、スタートアップ含む)
という形で二分するかと思っていましたが、大企業もコロナの収束に関わらずリモートを継続する方向になってきました。

もうこれはメガトレンドといっていい状況になっていると思います。

プレスを出している大企業でいうと、日立製作所さんやカルビーさんです。

日立製作所は5月26日、緊急事態宣言解除後も在宅勤務を標準とした働き方を推進すると発表した。再度の感染拡大や自然災害が発生した際でも通常通り企業活動が続けられる事業体制を目指し、各種手当の充実やリモートワーク環境の整備を図る。2021年4月をめどに新たな就業規則を適用する考え。

photohttps://www.itmedia.co.jp/news/articles/2005/27/news082.html

菓子大手のカルビーは、オフィスで働く社員は7月以降も原則テレワーク(在宅勤務)を続け、業務に支障がなければ単身赴任も解除して家族と同居できるようにすると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で3月下旬からテレワークを続けてきた結果、業務の効率化などが進んだとして、今後も無期限に続けることにした

朝日新聞デジタル
カルビー、原則テレワークに 支障なければ単身赴任解除:朝日新聞デジタル  菓子大手のカルビーは、オフィスで働く社員は7月以降も原則テレワーク(在宅勤務)を続け、業務に支障がなければ単身赴任も解除して家族と同居できるようにすると発表し...

典型的な日系大企業がここまで変えるとは驚きました。
日立製作所さんは日本を代表する大企業ですし、カルビーに至っては単なるリモートワークだけではなく単身赴任も減らしていくということになっています。

社会的に見ると確実に前進していますが、個々人で見るとこの変化をメリットとして享受できる人、そうでない人の二極化が起きるのかなと感じます。

ステラアソシエの例を出すと、今年4月ごろから中途社員や学生のインターンを募集しています。

私は前職から含めると6年ほど採用担当をしていますが、今までの採用基準は担当してもらう業務自体が未経験でもポテンシャルで採用していました。(大企業ならポテンシャル採用は普通ですが、私が勤めてきたのは10〜100名の小さい会社なのでポテンシャルとはいっても入社0ヶ月目からそれなりに成果を出してくれる人を採用しています)

学習能力の素養があれば入ってOJTで鍛えながら戦力になってもらうということで、採用していたわけです。

しかし、コロナが流行してからはその考え、基準が変わりました。
弊社は今年1月末から緊急事態宣言が明ける5月末ごろまでフルリモートをしていました。

7月からは週何日か出社するようにしようとしていますが、それでも毎日出勤することはまだなさそうです。
そう考えると、業務未経験という方を迎え入れる事が非常に難しいと思っています。

同じ場所にいれば様子を見れるので、うまく進んでいなければすぐに声をかけられますが、リモートだと通話している時しか状況がわかりません。
入社してからのオンボーディングの難易度が上がるので、教えなくても自分の武器を持っている人に限った採用活動になりました。

先日ある人材会社さんのオンライン採用イベント(学生インターン)に参加させていただきましたが、その際の学生側の必須要件は「長期インターン経験がある事」でした。
しばらくリモート中心なので、オンボーディングにコストがかからない人材を対象にした採用イベントという事です。
この傾向が増えていくと思います。

これは社会人も学生も仕事をするハードルが上がったと言えると思います。
今までは未経験でもウォンテッドリー的に会社の思想とマッチし、「やる気あります」というモチベーションが示せれば入社できていたようなケースが減ることになります。

「あなたは何ができるのか?」という問いに対し、自分が貢献できることを示す必要があります。
ある程度自走できることが、リモートをする仕事の必須要件になってきているのかなと思います。

学生の例だと、今まで飲食系のサービス業でアルバイトをして生計を立てていた人たちが仕事にあぶれ、一定数学費を払えず退学検討しているという悲惨なニュースがあります。
そこで家でも働ける仕事に切り替えようとしても、サービス業で働いていた時と同じ時給・シフトの量の仕事に就くことは難しいと思います。
学生であれば業務未経験から仕事を経験していくわけですが、その最初の1社に入る事が難しくなりました。

リモートワークは、上司や同期と同じ場所に集まりながらそれなりのアウトプットを出せること、「この人は家にいてもサボらず働いてくれる」という信頼関係があって初めて認められることです。
それを業務未経験の人に、入社すぐから認める会社はなかなかいないでしょう。

厳密にいうと、単価が安い仕事ならコロナ以前より受ける事ができます。
クラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングで募集されている仕事ですね。

ただ、掲載されている仕事内容を見た事がある人もいると思いますが、未経験に限らず時間見合いの単価はかなり安いです。
発注者から支払われる給与の数十%をプラットフォーマーが抜く事、頻繁にコミュニケーションを取らずにリモートでできる仕事だけあって軽作業が多いからです。(本当にスキルがある人は1回目にプラットフォーム経由で仕事を受注し、その後直接発注者から仕事をもらえます。が、そういう人は稀有です)

なので、本業やアルバイトの足しにするのならともかく、主な収入源として利用するのは現実的ではありません。

同時に就業人口が減っていくので、有効求人倍率が1%を下回ることはないとして、ミスマッチによる学生・非正規労働者を中心にした仕事不足はしばらく続くように思います。
仕事もあり、働きたい人もいるのにマッチしないという、需要と供給曲線を無視した状態でしょうか。

ここまでは就職・転職という軸で話しましたが、現職で働いている人の働き方も変わります。

今まで会社に集まるのが当然で通勤にかけていた時間・労力、とりあえず社内の人数を集めて行なっていた会議、明確なゴールはなく関係構築と称して客先に訪問する営業なども減っていくでしょう。

あらゆる業務シーンで「それ集まる必要ある?」という問いが飛び交うことになります。(多少生きづらさを感じますね)

現状はごく一部に限りますが、この環境をうまく活かせると、被雇用者としては就業場所の通勤圏内に住む必要がなくなります。
全国の仕事からベストな条件を選ぶ事ができるという事です。特に地方住みの人には大きなチャンスだと思います。(私が知っているベンチャー企業で、数社は未経験でもフルリモート可の中途・インターン求人を出しています)

雇用者側も、近くに住んでいる人に限らず、全国からベストな人を採用する事ができます。
フルリモートは従来よりもマネジメントコストが上がりますが、そこがクリアできれば採用戦略そのものが変わりそうです。

同じ観点でプライベートの側面としては、住む場所を柔軟に選ぶ事ができます。都心や駅近物件に高い家賃を払って住む必要もなく、(いい会社だと)お給料据え置きで安い家賃相場の場所に住むこともできます。(もう数年すると、家賃相場自体が駅近でも少し安く、郊外でもインフラや自然環境が充実している場所が高くなるといった見直しがされるとは思いますが)

この変化は、レベル4以降の自動運転を中心としたMaaSが本格的に普及してきた頃(2025〜30年)に起きるはずでしたが、想定外の要因で前倒しになりましたね。

とりとめない内容になってしまいましたが、リモートワークという間違いなく止まる事がないメガトレンドに取り残されない事、人が集まっていた時の良さを失わないようにバランスを取る事、仕事に限らずプライベートの生活環境を最適化する事。

外出自粛辛いですし、上記に書いたことですぐできないことも多いですが、少しでも楽しい未来を考えて生活したいですね。

 

 

保木社長保木 佑介
RPAホールディングスにて、総合化学メーカーや総合電機メーカーの研究開発部長を中心に、100以上の新規事業プロジェクトに従事。RPAホールディングスがマザーズ上場したことを機に、2018年5月当社を設立。得意領域は、MaaS、化学、社会インフラIoT、サイバーセキュリティ。趣味は猫を愛でること、文章を書くこと、フットサル。
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