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再生可能エネルギー(再エネ)と農業が融合するメリットとは

現在、太陽光発電では、FIT制度(固定価格買取制度)の変更により、太陽光パネル廃棄を検討している家庭や事業者が増え、その廃棄が問題となり、太陽光パネルのリサイクルにも注目が集まっています。しかし、リサイクルの前に、太陽光発電を含む再生可能エネルギーはどの程度普及しているのか不明瞭な方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そういった点について記載すると共に、再生可能エネルギーが発電以外でも活用されている部分について考察します。

 

 

1.再生可能エネルギーの概要

では早速、再生可能エネルギーが種類別にどの程度導入されているのかを見ていきましょう。

出典:再生可能エネルギー発電設備の導入状況等
(資源エネルギー庁 / 再生可能エネルギー発電設備電子申請サイト)

図の中で、導入量の新規認定分と移行認定分の合算が、現在の導入量になりため、導入量は以下のようになります。
・太陽光(住宅) :1,054万Kw

・太陽光(非住宅):3,748万Kw
・風力      :363万Kw
・中小水力    :56万Kw
・地熱      :2.4万Kw
・バイオマス   :267万Kw
圧倒的に太陽光発電の導入量が多いことがわかりますね。だからこそ、先日投稿した記事にもあった通り、太陽光パネルの廃棄問題が話題になってきています。

しかし、今回は設置状況や活用状況に焦点をあてていきたいと思います。
これらの再生可能エネルギーの設置場所は、以下のような場所が考えられます。

・建物の屋根
・農業と併用した耕作地
・住宅地
・山林
・海岸部
そんな中、少し前に注目を集めたものとして、「営農型太陽光発電」というワードがあります。

出典:土地カツnet

農業で使用している耕作地の一部を太陽光発電に使用したり、温室ハウスの上部に太陽光パネルを設置したり、といったものです。また、耕作放棄地を活用して、風力発電施設を建設するなどの動きも見られます。

出典:自然エネルギー財団

このように、再生可能エネルギーの導入場所として、農地との共存や、耕作放棄地の利活用などが近年注目されています。「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律(農山漁村再エネ法)」が2013年に施行され、最近になってようやくこの法律を用いた事業が、運転を開始し始めています。
では、こういった法律の活用などにより、どのようなメリットが生み出されているのでしょうか?

 

2.農地転用による再生可能エネルギーの導入

日本において、農業用地に関する制約は厳しいため、これまでは農地に再エネを導入することは不可能でした。そこに、営農型の再エネ導入に係る制度や、農山漁村再エネ法などが制定され、近年は農業と再エネの一体化が促進されつつあります。
では、これらはどのような制度なのでしょうか?そして、どのようなメリットがあるのでしょうか?
まず、農山漁村再エネ法では農林水産業、営農型発電では農業に対して、負の影響が出るような事業計画では許可が下りないという共通点が挙げられます。営農型発電では、必須ではなかった売電収入の地域還元が、農山漁村再エネ法では必須事項となっています。つまり、農山漁村再エネ法を用いて農地転用を行う場合、事業者は必ずその売電収入の一部を地域に対して還元しなければなりません。

さらに一部の事業では、地域住民を発電設備の管理者として雇用する、などの地域に対するメリットを提供しています。しかし、過去に山林地に風力発電施設を建設しようとして開発していた際に、土砂崩れが発生した事例などもあるため、現地住民の懸念や不安をメリットだけで凌駕出来るわけではありません。そのため、農山漁村再エネ法では、問題が発生した場合の解決方法についても明記することが必須となっています。
これによって、問題が発生したら即座に稼働停止する、撤去する、などの確約が得られていることもあり、住民が納得して受け入れているのではないかと考えられます。この法律を利用した事業計画が、2018年3月末時点で、47市町村が計画書作成済、19市町村が計画書作成中となっています。

出典:農林水産省HP

我々が調べてわかっている範囲では、現在での計画書作成済の市町村数は50を超えており、農山漁村再エネ法を活用した、農地利用の再エネ導入が促進されていることがわかります。
さらに、再生可能エネルギーを農業などと併用することのメリットは他にも存在しています。それは、「食」への活用です。

 

3.再生可能エネルギーの食への活用

先述した通り、再エネの導入により、「食」の創出に寄与している事例が存在します。食以外も含め、再エネが活用されているものとしては、以下が挙げられます。
 ・排熱による床暖房や温水への活用
 ・温室農園での排熱利用
 ・大気温より高温化での養殖が必要な際に排熱を利用
見てお分かり頂けるとは思いますが、再エネを導入した際に副産物的に生まれる排熱を有効活用しようという取組が主です。床暖房や温水への活用などは一般に広く認知されているとは思うので、今回は「食」について説明します。
温室農園での利用では、

 ・いちご栽培
 ・マンゴー栽培
 ・トマト栽培
などに利用されている事例が存在します。

出典:鹿追町HP

また、農業に限らず、チョウザメという、卵がキャビアと呼ばれる種類のサメの養殖にも活用されています。チョウザメの養殖には、水温15~20度が適温だとされています。そのため、発電余剰熱を利用して水温を温めています。

出典:鹿追町HP

今回は、北海道の鹿追町環境保全センターを例に出してご紹介していきます。ここでは、発電余剰熱を利用した、マンゴー栽培、チョウザメの養殖がされています。鹿追町では、バイオガスプラントと、水素ステーションが存在します。
北海道ということもあり、酪農がさかんな地域です。
したがって、酪農で発生する糞尿を利用したバイオガスプラント、そしてプラントで生成したメタンガスから水素を創出するためのプラント、その水素をエネルギーとして供給するための水素ステーション、さらにバイオガスプラントでの発電余剰熱を利用した取組、という形で町が一体となったスマートシティを目指している、再生可能エネルギー業界では有名な地域です。

出典:スマートジャパン記事

つまり、農業と一体化させようとして、強引に導入したわけではなく、町の発展のために必要な施策を考えた結果、「食」への活用が副次的に創出されたことになります。副次的に勝手に創出されるほど、「食」と再エネとの親和性は高いということが示唆されるのではないでしょうか?
このように、現在日本では再エネをより効率的に、より付加価値を介在した形での導入が検討されています。
FIT制度(固定価格買取制度)における買取金額が下がっていることや、買取を規制する動きが影響しているという部分も一定あると思います。そのため、どのような形で町に受容していくかが重要な論点となっています。

 

4.今後の動向

では、今後の再エネ導入によるメリットにはどのようなものが挙げられるのでしょうか?現在では、洋上風力発電(海上に設置する風力発電)によって、海上に浮遊する物体により、海中に影が発生するため、魚が集まり地点になる可能性などが示唆されており、漁業の発展に寄与する可能性が挙がっています。
他にも、温度を上昇させなければならないものへの活用や、そもそも使用電力量が多い施設に対して、屋根に太陽光を設置するなど、電力の自給自足、さらなる利活用が注目を集めているため、今後更なる発展が見込めるのではないでしょうか。
また、ビジネス的な観点でお話をするならば、現在はFIT制度による買取額が下がり、事業者が設置するメリットが低下してきています。つまり、設置費用やメンテナンスコストを賄うだけの売電収入がなくっています。これは、再エネ導入を促進している日本全体での課題です。そのため、現在では、各発電方式に関して、技術革新が進められています。
世界的にもコストが大きすぎることが問題になっているため、再エネ装置製造の主力であるヨーロッパ企業でも、こういった動きは進んでいます。日本政府もここに助成金を出すなど、かなり注力されています。3~5年後には、技術的な進歩が進み、コストの大幅な削減が期待できるのではないでしょうか。
その際には、事業者側のメリットも存在するため、時期を待ち、それまでにどの発電方式をどこに設置するのが良いか、などを検討されておくと、技術革新の直後に動き出していけるのではないでしょうか。

 

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保木 佑介

保木 佑介

RPAホールディングスにて、総合化学メーカーや総合電機メーカーの研究開発部長を中心に、100以上の新規事業プロジェクトに従事。RPAホールディングスがマザーズ上場したことを機に、2018年5月当社を設立。得意領域は、MaaS、化学、社会インフラIoT、サイバーセキュリティ。趣味は猫を愛でること、文章を書くこと、フットサル。
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