【連載 MaaSは日本社会を救うか?】第1回 MaaSの定義

[vc_row][vc_column][vc_column_text]全8回でお送りする「MaaSは日本社会を救うか?」。第1回はMaaSの定義と、注目されている背景に焦点を当てます。

グーグルで「MaaS 定義」と打てば情報はたくさん出てきますが、なぜ改めてこの記事を書いたかというとMaaSの定義は曖昧だからです。

ニュースサイトや情報源によって、各々の解釈がされており、どこまでがMaaSなのかが非常に分かりづらくなっています。

それだけお金のにおいを企業が感じて、レッドオーシャンになりつつあるという側面もありますが、MaaSを理解しようとすると邪魔になります。

そこで、第1回ではMaaSがなぜ今注目されているのか、どこまでがMaaSなのかについて解説していきます。

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1.なぜMaaSが注目されているのか


【消費者ニーズの移り変わり】

MaaSのサービスは、基本的に利用した分だけ料金を支払う都度払い、もしくはサブスクリプションで提供されます。

なぜ、このようなサービスが増えてきているかというと、自動車業界以外を見ると分かりやすいです。

従来、消費者は「所有」を前提とした購買行動でしたが、近年はサブスクリプションサービスなどの「利用」へと移行しています。

消費者ニーズ

音楽業界を例に挙げると、タワレコでCDを購入したり、ツタヤでレンタルすることはほとんどなくなりました。

筆者自身を例にとると、東京の区立図書館はCDがレンタルできる場所があるのですが、そこで借りてiTunesに入れる、という作業を昔は繰り返していました。

一度に借りられるCDは5枚が限度なので、予約→5枚借りる→iTunesに取り込む→返却という作業をしていました。かなり時間と根気がいる作業です。

現在は、Apple MusicやSpotifyをはじめとしたサブスクリプションサービスで、数秒でDLできるので気軽に音楽を聴くライフスタイルが定着しています。

これは自動車業界も同じです。昔は車を持っていることが当たり前、ステータスでしたが、今の若者はそのような価値観を持っていません。

車の話題が日常的に出ることはなく、旅行するときにレンタカーを借りるぐらい。好きなカーメーカーや車種の話をするのは、かなりの車好きだけです(多少主観が入っていますが)。

所有は当たり前ではなくなり、必要な時だけ利用する。それが現代の消費行動になっています。

最近は何でもかんでもサブスクで提供されるようになり、「サブスクが価値」のような手段と目的が逆になっているサービスも見受けられるため、一概にいいとは言えませんが、昔よりも安く、簡単にサービスを受けられるようになったのは間違いありません。


【都市と地方の交通問題】

少子高齢化により、既に顕在化している問題が、より深刻化することが予測できます

経済産業省による発表でも、都市と地域(地方)を分けて課題を整理しています。

課題解決寄与イメージ

 2018年10月 経済産業省「IoTやAIが可能とする 新しいモビリティサービスに関する研究会」 中間整理


それぞれについて、少し解説します。

都市

都市

地方の過疎化が進むことで、都市の人口密度が今以上に上昇する「超都市化」が進んでいます。ご存知かと思いますが、既に都市の交通はパンクしています。JRやメトロの通勤時間は毎日満員電車で地獄のような環境です。

今でさえ限界に達していますが、過疎が進み地方が住みづらくなった人たちは都市に出てくるので、超都市化になると考えられます。また、これは都市に限りませんが、インバウンドの観光客が増えていることも拍車をかけています。


・地方

地方から若い人が都市に移ることで人口減少が起き、ローカル鉄道やバスが廃業になったというニュースをご覧になることがあると思いますが、それが増えていきます。

並行して高齢者も増えることから、自力で病院やスーパーに移動できない高齢者が増えていきます。鉄道があっても移動できないような人がおり、かつ移動手段も減っていく。当然、企業としてはビジネスですから、収益が見込めない地域は廃業するしかありません。


2.MaaSの定義

前提として、MaaSは新しい事業領域ということもあり、まだ定義が定まっていません。発表されるレポート元や、企業によって都合よくMaaSの解釈がなされます。

そのため、一般的に「MaaS」と言われたときに指す範囲と、弊社の解釈をご紹介します。


・一般的な定義

一般的なMaaS(Mobility as a Service :マース)は、複数の交通機関を一つのプラットフォーム上でルート検索・予約・決済ができるサービスです。

出発地から目的地までの移動ニーズに対して、最適な移動手段がシームレスに提供されます。それが進むと、移動手段の提案だけではなく、移動先周辺の飲食店やショッピング施設の情報がレコメンドされます。

ここで勘違いしがちなのは、「Mobility=車」と思ってしまうことです。Mobility を日本語訳すると「乗り物」ですので、車はMobility の一部分です。

他の移動手段である、鉄道、バス、自転車などもMobility となります。

MaaShttps://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1901/09/news013.html

MaaSは5段階のレベルがあるとされています。現在、日本はレベル2で、レベル3の実証実験が一部で行われている状況です。

フィンランドを始めとした欧州の一部の国は、レベル3の実用化が始まっています。

MaaS 5段階のうち、日本はレベル2
MaaS5段階

・ステラアソシエの定義

一般的には、複数の交通機関を統合するサービスをMaaSと呼びますが、弊社では「自動運転やEV、ドローンを含めた人の移動・物の配送手段に関わるイノベーション全般」をMaaSと捉えています。

一般的定義との違いは、以下になります。
・統合に限らず、モビリティによって提供されるサービス全般を含める
・人の移動に限らず、物の移動(配送)も含める
・配送の技術として、ドローンも含める

この視点の何がいいかというと、今後大きく変化するMaaSの市場を俯瞰的に捉えられることです。

移動手段の統合にだけ目を向けても、モビリティによる社会、生活の変化はぼやけてしまいます。モビリティに関わる変革全てを見ることで、大きな潮流が見えてきます。

その全体像は、第2回「MaaS 3つのビジネス領域」で紹介します。


保木社長保木 佑介
RPAホールディングスにて、総合化学メーカーや総合電機メーカーの研究開発部長を中心に、100以上の新規事業プロジェクトに従事。RPAホールディングスがマザーズ上場したことを機に、2018年5月当社を設立。得意領域は、MaaS、化学、社会インフラIoT、サイバーセキュリティ。趣味は猫を愛でること、文章を書くこと、フットサル。
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