Black Box

新規事業を科学しアイデアに繋げるメディア

Society5.0の医療で実現する社会とは? 前編

全2回でお送りする「Society5.0の医療で実現する社会とは?」。本日は前編として、日本は医療/ヘルスケア領域(以降、医療と表記)でどのような現状課題を抱えており、どう解決しようとしているのかをご紹介致します。

Society5.0とは、現在のSociety4,0(情報社会)から、さらに一段階進んだAIやIoT等の最新テクノロジーを活用して、より生産的で豊かな社会を形成しようという国全体の次世代社会形成の取り組みになります。
Society5.0は大きく7領域に分かれており、それぞれの領域で日本の現状課題を解決し、より人々が豊かで快適に過ごせるための次世代の社会のあり方が定義されています。

そして本記事では、医療領域での日本の現状課題と、それに対してSociety5.0で実現したい社会のあり方、それに求められる要素についてまとめています。

 

 

1.医療分野の課題

皆さんは現在の「日本の医療課題」と言われて何を思い浮かべるでしょうか?
・癌や糖尿病等の生活習慣病を治す薬が無い
・医療現場で未熟者と経験者の差をなくせるような再現性のある革新的な医療機器が開発されていない

などでしょうか?

ズバリ、Society5.0の医療分野が抱える課題は「日本国民の健康寿命を延ばすこと」ということです。

日本社会の根底に存在している社会課題として「少子高齢化社会」があるというのは、周知の事実だと思います。

この少子高齢化は、日本全体での晩婚化や未婚率の増加が原因で年々深刻化しています。ある統計データでは、2025年に国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると言われています。

こういった少子高齢化による日本の今後の人口推移は、将来的に日本の医療/ヘルスケア領域においても大きな打撃を与えます。

少子高齢化において若者より老人の比率が圧倒的に多くなると、国の財政面でも、労働人口面でも日本の全高齢者のケアをするのが難しくなるでしょう。

最終的に、2065年時には日本人口全体の38.6%が65歳以上の高齢者になると考えられており、高齢者の割合は、2.6人に1人になると見込まれています。

 

〈高齢化の推移と将来推計〉

出典:内閣府

このように、65歳以上の高齢者1人に対するその他の人口割合が減少していくと、全高齢者への社会保障や日常ケアが行き届かなくなることが想定されます。

そこで必要なのは、「健康寿命を延ばすこと」になります。

 

〈平均健康寿命を延ばすことで介護負担を削減〉

 

現状日本人が日常生活を送るのに、人手が必要になる年齢は平均75歳ほどであるとします。つまり平均寿命が85歳だと仮定すると、1人あたりに必要な介護期間は約10年になります。

しかし今後、高齢者が自力で生活できる平均年齢が80歳~85歳まで延ばせた場合は、全高齢者に対して必要な介護負担や社会保障を半分以上減らせる事になります。

Society5.0の医療では、この「日本国民の健康寿命を延ばすこと」という事に主な焦点を当てて国、民間企業、医療機関が必要な取り組みやサービスを展開していくようになります。

 

2.Society5.0の医療の定義(実現したい社会)

健康寿命を延ばすことが日本の課題であることは分かっていただけたと思いますが、どのように解決していくのでしょうか?

Society5.0の医療の定義は、「必要な人が適切なタイミングで、必要なケア(診断、治療、未病ケア/予防)を受けられる社会」です。

 

〈従来の医療とSociety5.0における医療の違い〉

 

上記の図から分かるように、従来の医療は、今までは大まかな年齢や、健康状態に合わせてサービスを提供していました。「子供」「高齢者」といった大まかな属性分類に基づくサービスです。

しかし、Society5.0では、各個人の健康や医療に関するデータを参考に「1人1人にあった最適な医療」を提供します。一言で言うと、パーソナル医療です。

そして、1人1人が生まれてからの医療/健康データを一つの医療用データプラットフォームに蓄積して、病気になる前の各個人の「未病ケア」や「予防」を行うため、適切な医療の提供と未病/予防ケアの観点から、健康寿命が延びることが期待できます。

 

〈Society5.0医療の概要〉

出典:経営団連

3.実現するために求められること(産学官の連携)

最後に、パーソナル医療を実現するために必要な仕組みついて解説します。

パーソナル医療には、各個人の生まれてから亡くなるまでの健康や医療に関するデータを蓄積していくことが必要です。

「家族の病歴」、「血圧や食習慣」といった健康情報を収集することで、生活習慣病の未然予防等にも活かすことが出来ます。

そういった個々の健康や医療データのを集めるためには、「国」「民間企業」「医療機関」の連携が必要になります。

 

〈各機関が保有する医療データの分類〉


国は戸籍や家族情報、健康保険による疾患情報等の個人情報を取得し、医療機関は患者情報として、体重から診断情報、問診や画像診断の結果等を取得し、民間企業は、消費者向けのセンサーやウェアラブルデバイスを活用することで血圧や取った食事、心拍数や脳波といった情報を取得出来ます。

そして、それぞれの機関が保有する各種データを統合することで、より正確な各個人の健康/病気データを蓄積することが可能になります。

今回は、Society5.0における医療領域の課題とそれが実現された社会及び必要要素についてお話ししました。

次回は、医療データの収集方法や活用方法について、サービス事例を挙げながら紹介していきます。

 

The following two tabs change content below.
久本 勇馬

久本 勇馬

VRベンチャーで社内新規事業立ち上げを経験後、 弊社に参画。デザイン思考を用いた新規事業企 画や、グローバル案件を担当。 【得意領域】再生医療、グローバルスポーツビジネス、xRなど 【趣味】サッカー、囲碁