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「オリンピック×テクノロジー」東京五輪に向けたMaaSの取り組み

全3回でお送りする「オリンピック×テクノロジー」。

今回は、東京五輪に向けたMaaSの動向についてご紹介します。

東京五輪は2021年の7月から開始ということで、1年延期となりました。

オリンピックは、世界の主要都市で開催される最大級の総合スポーツ大会ですが、今年は東京での開催ということで日本国内でもかなりの注目や期待を集めています。

この東京五輪も、大会関係者や国民の皆さんは競技内容や出場選手等に注目していることでしょう。

ですが開催にあたり、その裏で大きく今後のテクノロジーや新しいビジネスを普及させる「開発と検証の場」として期待されていることはご存知でしょうか。

今、大会参加者及び世界からの観光者の充実度や利便性を向上させるために、水面下では民間企業をはじめ国全体で、東京五輪への最新テクノロジーの導入及び、東京五輪を「最も革新的なオリンピック」にするべく取り組みが行われています。

この第一回の記事では、東京五輪に向けたテクノロジーの取り組みと、東京五輪で導入される最新技術の9つのうちの1つをご紹介します。

 

 

1.東京五輪の最新技術動向

■概要

それでは早速東京五輪に向けた最新テクノロジーの動向についてより詳しく見ていきましょう。

東京五輪の最新テクノロジーの取り組みとしては、2014~2015年にかけて内閣府科技担当大臣のもとに、有識者による「2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた科学技 術イノベーションの取組に関するタスクフォース」というものが開催されました。

これは東京オリンピック及びパラリンピックを通して、世界へ発信していくべき科学技術イノベーションに関するプロジェクトを形成するために行われました。

この取り組みでは、2020年に向けた日本から世界に発信されるべき科学技術イノベーションを9つのプロジェクトに分けて進めています。

〈とりまとめられた9つのプロジェクト概要〉

内閣府

現在、上記の新技術を導入するべく各省/組織委員会/民間企業の連携の元、研究開発・社会実装に向けた取り組みが行われています。

■従来のオリンピックとの違い

そして今回の東京五輪は、以下のような基本理念を掲げています。

「科学技術イノベーションで世界を大きく前進させる」

日本で行う東京五輪は、単なる世界最大規模のスポーツ大会として開催するのではなく、テクノロジー的観点でも「世界を変える最新イノベーションを披露する場」として大きな期待がされています。

東京五輪へ革新的な技術の導入を行うことにより、将来的に東京五輪で披露する科学技術のイノベーションで、世界中の暮らしの質を高め、世界中の課題を解決していくことを目指しています。

前回の2018年の平昌五輪では5Gや史上初のオリンピックでのVR配信、ドローンによる光のショーなど、エンターテイメントの観点での充実度向上に繋がるような技術が導入されました。

ですが今回の東京五輪は、次世代都市交通システムや水素エネルギーシステム、高齢者/障害者のアシストテクノロジーなどの利便性向上に加え「社会課題」の解決に繋がる最新テクノロジーが導入されることが大きなポイントであると言えます。

〈コンセプトメッセージ〉

内閣府

 

2.2020年東京五輪に向けた最新科学技術 (第一回)

それでは、前章で紹介した9つのプロジェクトの中で、具体的にどのような最新テクノロジーが東京五輪で導入されていくのか見ていきましょう。

この前編では、9つのプロジェクトのうちの3つの技術についてご紹介します。

また最新テクノロジーを活かした社会課題解決という観点で、各プロジェクトの中でSociety5.0と関連するものもご説明します。

※Society5.0:AIやIoT等の最新テクノロジーを活用して、より生産的で豊かな社会を形成しようという国全体の次世代社会の形成の取り組み

 

1.次世代都市交通システム(MaaS)

次世代都市交通システムは「すべての人に優しく、使いやすい移動手段を提供する」ということをベースに、実用化が進められている「ART:Advanced Rapid Transit」を指します。

「ART:Advanced Rapid Transit」は、自動走行バスの運行を実現させ、高齢者や車いすの方をはじめとする様々な利用者が便利で使いやすい次世代の公共交通機関の仕組みになります。

今後、日本での少子高齢化はさらに深刻化していくと言われており、移動困難や交通事故リスクなどで、総人口約1/4が広義の交通制約者であると言われています。

この次世代都市交通システムの取り組みでは、車いすやベビーカーなど誰もが快適に利用できるユニバーサルな交通インフラを整え「移動」に関して誰もがストレスフリーに出来る社会実現を目指しています。

〈次世代都市交通システムの展開イメージ〉

内閣府

この取り組みでは、東京五輪を見据えて、東京臨海地域において東京都と産業界が連携し、最先端の自動運転技術を発信していく方針です。

具体的には、自動運転技術をバス等の公共交通に導入することで、遅延などを起こさない定時性を実現し、車内は転倒事故を防止するための乗り心地の向上などが目指されています。

〈自動運転バスの概要〉

内閣府

また、誰もが安心・安全に利用できる交通手段を提供するために、乗車口の段差を最低限に抑えた自動幅寄せや車高調整技術により、交通弱者が介助なしで乗降できる他、交通機関とのスムーズな乗り継ぎを実現する総合的なシステムの開発を行っています。

この取り組みは、Society5.0の「交通」領域の発達にも大きく貢献すると考えられます。

Society 5.0の交通は「ビッグデータやAIを活用し、個々の嗜好に合わせた運転計画を行ったり、自動運転やカーシェアを充実させ、様々な人々に対する移動をスムーズに行える社会」と定義されています。

この東京五輪の次世代都市交通システムの導入を実現することで、様々な人が移動を快適に行い、さらに乗り継ぎをスムーズにすることが可能になるので、Society5.0における次世代の交通の在り方に大きく近づくと考えられます。

 

本記事では第一回目の記事として、東京五輪へ向けた最新技術を発信するという国での取り組み、そしてそこで世界へ発信される9つの技術のうちの1つについてご紹介しました。

第二回と第三回では、東京五輪へ向けて取り組まれている残りの8つの技術についてそれぞれご紹介していきます。

第2回:「オリンピック×テクノロジー」東京五輪に向けた5Gの取り組み

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久本 勇馬

久本 勇馬

VRベンチャーで社内新規事業立ち上げを経験後、 弊社に参画。デザイン思考を用いた新規事業企 画や、グローバル案件を担当。 【得意領域】再生医療、グローバルスポーツビジネス、xRなど 【趣味】サッカー、囲碁