先日、「ゲーミフィケーション×ハック!R-Stack Hack Day 2019」に審査員として参加させていただきました。以下の内容のイベントです。
R-Stack Hack Dayは、株式会社日立システムズが主催するハッカソンイベントです。社会問題に関心のあるデザイナーやエンジニアが集結し、世界人口の増大、超高齢化社会、社会インフラの老朽化、自然災害、気候変動、資源の枯渇など、すぐには答えの出ない問題にチャレンジします。
ゲーミフィケーション×ハック!R-Stack Hack Day 2019
2014年より毎年開催されており、今年が6回目の開催だそうです。
研究開発本部様を中心に運営されているということもあり、開催の目的は開発力の向上、多様な人材と交流することで際立ったビジネスアイデアを考えるというもの。いいアイデアをスピーディーに開発できる組織、というところに繋げていきたいようです。
今年のテーマは、「ゲーミフィケーション」でした。ゲーミフィケーションは、ゲームのようなエンタメ性を、それ以外の事象に適用させることです。
例えばゲーム性がある勉強アプリなど、ゲームをやっているときのように楽しく取り組めるような問題解決の手法でもあります。
Eスポーツ市場が伸びていることもあり、今年はこのテーマにしたそうです(ちなみに、日立システムズ様は社内でEスポーツ大会があるとのこと)。
参加者は大学生、企業勤めの方、大学の教授など幅広い方が参加されていました。
ハッカソンは2日間ありますが、1日目は主にアイデアソンなので、コーディングをしているのは実質1日程度とハードめなスケジュールです。
発表前の様子
全部で7チームありましたが、個人的に面白いと思った3チームの発表内容と、コメントを書いていきます。(拝借している当日スライドは、こちらで公開されています)
Bチーム:アイデアトランプ
「仕事でブレストをする際、声の大きい人の意見が多く、おとなしい人の意見が出ずらい」という課題に着目されたアイデアです。PC、音声で入力して、アイデアをアップロード。
ポイントがついたら、バッジがもらえるという仕組み。普段から弊社でもブレストをすることはあるので興味は結構ありました。
個人的には、その場にいるのに、会話せずに手入力というのはもったいないなと思ったのですが、あくまで会話はするそうです。
価値としては、業務の効率化にもなるということでした(付箋紙とかを使う必要がない)。だとしても、業務の効率化だけだと弱いので、ブレスト自体をアップデートする機能があったら面白いと思いました。
場には出ていて、人が気づかないけど優れたアイデアをシステム側がレコメンドするイメージです。いいアイデアが出すことがブレストの目的なので、アナログにやるよりも議論の質が上がるという要素があったらよかったなと思いました。
Eチーム:ゆとりのある生活を
デジタル化、効率化のアンチテーゼから始まったアイデアです。ネットショッピングは便利だけど、リアルなショッピング体験で得られる「出会い」がない、というのはとても共感しました。これをネットでも実現しようという試みです。
仕組みは、イチナナやLINE LIVEのようにライブ配信者が店舗の映像を映し、それを見ている人が「その商品気になるから映して」「これ買って!」というように、双方向コミュニケーションを取りながら買い物ができるものです。
発表当日は、カメラから映像を映して買い物の様子がPC上で分かるデモを見せてくれました。
課題意識の導入パートに聞いた時に、「ウェブのレコメンド機能とは違うのかな?」と思ったのですが、だいぶ違いましたね。
気になった点としては、1人の配信者に対して1人の購買者(視聴者)で成り立つのかという点です。仮に複数人の購買者が必要だとしたときに、人によって見たい場所・気になる商品が変わるから、1対1じゃないときついかなと思いました。まあ3人ぐらいなら対応はできそうなので、アリかもしれません。
利用シーンとしては、ニッチですが、特定の場所でしか買えない商品を購買代行してもらうときに有用だと感じました。日本でしか買えないアニメのグッズを日本人が店舗映像を店ながら、海外の人が映像を見て「これほしい」と指示するようなイメージです。
Fチーム:Waのすまほ
(Waは恐らく「輪」のことだと思います・・)
自由研究のネタがない子供(もしくは子供に相談された親)に向けたサービスです。提供されたスマホの機能がロックされた状態になっており、アンロックするために、プログラミングのコースを受講するという仕組みです。
コースを達成するとアプリが解除されていくというゲーム性を持たせています。また、個人で取り組むだけではなく、友達やクラス内の進捗を可視化する機能もあります。
最初はアプリがアンロックされている
プログラミングのコースを受講するとアンロックされ・・
LINEが使えるようになる!
(「LINEは使えないとまずくないですか?」という突っ込みも受けていました笑)
個人的には、宿題の進捗を可視化でき、友達と競うことができるというのが新しい世界観だと思いました。
夏休みなどの長期休暇で出される宿題は友達がどれだけ進んでいるか分かりません。これがあると、負けず嫌いの子供は「健太君よりは早く終わらせよう」と思うでしょうし、親が「健太君こんなに進んでるよ」と子供に問いかける様子もイメージできました(余計なプレッシャーにもなるかもしれませんが)。
このチーム以外のいくつかのアイデアで感じたのは、面白いけど「続くかな?」ということでした。Fチームのアイデアは、他者との関りがあるので継続しやすいです。また自由研究という用途に着目していましたが、それ以外の用途でも応用できるような仕組みだと思います。
この点が良かったので、最終的にStella Associa賞をFチームに出させていただきました(1人5,000円分のアマゾンギフト券)。
また、イベントの最後に、日立システムズ 研究開発本部長の田代様から講評がありました。今回はレベルが高く、ビジネスにしていきたいと思うようなアイデアも見受けられたと話されていました。
研究開発本部長 田代様からの講評
私は、イベントの後の打ち上げにも参加させて頂きました。学生として参加した方の中には、日立システムズの20卒内定者もおり、入社後の雰囲気などをエンジニアの方に聞いていました。
私も知らないような内情を話されていて、個人的にも勉強になりました。日立システムズはいい会社だと思うので、活躍してくれるはずです。
全体を通した感想としては、2日で少しでも動くものが作れるのはすごいなと感じました。アイデアソンではなくハッカソンなので当然ですが、2日でバージョン1のプロトタイプが作られるスピードはスタートアップぽいなと。
改めて、今回のような機会を頂けた日立システムズ様に感謝します。ありがとうございました。