大企業新規事業の企画に便利-ビジネスモデルキャンバスの使い方と事例

新規事業担当者の方が、サービスの企画をされる際に便利なフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」をご紹介します。

どちらかというと、ベンチャー・スタートアップよりも大企業にお勤めの方に適しているので、該当される方は読んでいただければと思います。

新規事業の企画では、サービスについてある程度網羅的に検討をしないといけません。

各社で長年使用されている独自のフレームワークもあるかもしれませんが、「最近になって新規事業を任された!」という方はアウトプットの枠組みを作る必要があると思います。

その時に有用なのがビジネスモデルキャンバスです。

ビジネスモデルキャンバスの特徴は、なんといっても「スライド1ページでサービスの全体像が分かること」です。

新規事業企画を本気でやろうとしたら、スライド数十枚にわたる事業計画書を提出する企業もおられると思います。

もちろん、そのテーマの重要度によっては工数をかけた検討、資料作成が必要な場合もあります。

しかし、社内で進めているすべての新規事業に対して、企画段階にも関わらず膨大な工数をかけてしまうことははっきり申し上げて無駄です。

新規事業を立ち上げていくことに必要なのは、①仮説を立てること、②仮説検証することです。

特に②の回数をどれだけこなせるかが、新規事業の成否にかかわります。(参考数値ですが、リクルートでは1つの事業を立ち上げるまでに行う仮説検証の回数は300回だそうです)
この2つ以外のリソースに時間を割くこと、特に社内向けの資料作成に工数をかけることは上記に反した行動になるので、最小限のリソースを割くのが定石です。

そこで便利なのがビジネスモデルキャンバスということになります。
1ページでサービスがいけているか、いけていないかが判断できるので、企画段階で検討する際の資料にうってつけというわけです。

ビジネスモデルキャンバスを御覧いただければと思いますが、もともとの英語名称を妙訳しており、なじみのある言葉に変更している箇所があります。

大企業の新規事業企画に有効なビジネスモデルキャンバス

大企業の新規事業企画に有効なビジネスモデルキャンバス

似たフレームワークでは「リーンキャンバス」というものがあります。
そちらはリソースがないスタートアップ向けのフレームワークです。

ビジネスモデルキャンバスには、「経営資源」の項目があります。
これはその新規事業を立ち上げる以前より、自社で持っているリソースがある前提です。

既に持っているリソースを生かして、競合優位性を出すという考え方になります。
そのため、ビジネスモデルキャンバスは大企業向きとお伝えさせていただきました。

逆に言うと、この経営資源の項目に有効なリソースがプロットできなければ、「なぜうちがやるのか?」「なぜ勝てるのか?」という役員様からの質問に答えられないかもしれません。

また、弊社がご支援したことがある化学メーカー様の新規事業責任者の方は「ビジネスモデルキャンバスで見る箇所は、真ん中と一番右だけ。それで大体わかる」とおっしゃっていました。

提供価値とセグメントの2つだけを見るということです。

この意見について、筆者も賛成しておりまして、提供価値とセグメントを見て納得感があればいい企画だといえます。

逆に「これ本当にお客さんにとって価値あるだろうか?」「なんでこのセグメントに刺さるんだろうか?」と疑問が出てくるようでは、他の項目がいくら素晴らしくても企画としてはボツでいいでしょう。

そのため、新規事業のキモともいえる提供価値とセグメントに頭を振り絞るということが、企画段階では重要になります。

企画担当者の方は、上記を踏まえて新規事業の企画にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

保木社長保木 佑介
RPAホールディングスにて、総合化学メーカーや総合電機メーカーの研究開発部長を中心に、100以上の新規事業プロジェクトに従事。RPAホールディングスがマザーズ上場したことを機に、2018年5月当社を設立。得意領域は、MaaS、化学、社会インフラIoT、サイバーセキュリティ。趣味は猫を愛でること、文章を書くこと、フットサル。
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