製造業が2ヵ月で新規顧客を獲得できるマーケティング実践論

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導入

突然ですが、製造業のみなさんは『マーケティング』に自信をもって取り組めているでしょうか?

 

製造業では、様々なご部署、役職の方がマーケティングの業務に携わります。

  • 研究開発部で研究だけではなく市場調査まで任される方
  • 新規事業部で各方面から上がってきたテーマの市場調査をされる方
  • 営業部門としての新サービス立ち上げをしている方

 

しかし、意外にもマーケティングに自信がある方は少ないかと思います。

  • 新規事業部やマーケティング部門がある場合も、配属前までは研究一筋の方や、営業畑という方がほとんどで、マーケティングのみに携わっていた方が少ない
  • 営業の方もルート営業・アカウント営業が多く、新規顧客の獲得に関わる機会が少ないため、マーケティングの発想を必要とされなかった
  • 営業と研究開発が切り離されているので、アカウントを持っている営業の方との調整に時間がかかりユーザーの声を聞く機会が極端に少ない

 

このような背景で、「いい技術はあるけどお客様が見つからない」「そもそもどんな業界に打って出ればいいかわからない」と立ち止まってしまうケースが見受けられます。

 

筆者はヤフーグループにて新規事業の立ち上げ、RPAホールディングスにて大手製造業を中心に新規事業のコンサルティングを行ってきました。

この記事には、これまで100社以上の支援を経験した中で培った、”超実践向け”のノウハウを凝縮しました。

巷で言われている、いわゆる”フレームワーク”のような抽象的なものではなく、現場を経験しないとわからないような”実務で使える知恵”をお届けしていきます。

そのため、ところどころ難解な部分も出てくるでしょう。

ぜひ、何度も読み返しながら、じっくりと咀嚼していくことをおすすめします。

顧客獲得のためのヒントが必ず見つかり、いずれ皆さんの血肉となっていくはずです。

 

また製造業と題してますが、R&D技術を保有する企業全般に関係する内容ですので、SIerやゼネコンなどR&D機能がある企業様が対象です。

 

3STEPの方法をしっかり行えば、開始から2ヵ月で新規顧客を獲得をすることも可能です。

各ステップの期間は以下の通りです。

STEP1:1週間

STEP2:3週間

STEP3:4週間

※本記事はリアルマーケティングについて解説しますので、相次ぐ展示会の中止でデジタルマーケティングやオンラインでの新規顧客獲得を喫緊の課題とされている方は下記記事をご覧ください。

<コロナ時代>高まるデジタルマーケティングの必要性。製造業が行うべき最初の一手は?【前編】

 

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STEP1 ユーザー目線の価値を定義する ~製造業のマーケティングがうまくいかない理由

 

所要期間:1週間

目標  :提供価値を1つ以上定義する

 

製造業のマーケティング活動での問題点は様々ありますが、一番大きな問題は技術の凄さで商品・サービスを語ってしまうことです。

 

「技術アピールをして何が悪いんだろうか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

製造業の強みは技術力に他なりませんので、技術をアピールしてしまうのは仕方ないかと思います。社内でも研究開発が形になってきたときに「この技術は凄いよね」という話から、事業化に向けたマーケティング活動が始まっていくと思います。

 

もちろん、社内の会議ではそれでもいいのですが、マーケティング活動をするときにはユーザー目線にならないといけません。

製造業でマーケティングに携わる方でも、ユーザー目線で技術を説明できる方はほとんどいません。

「こういうことが(技術的に)できます」「この項目でスペックが高いです」という話がほとんどです。

技術的な仕組みや、スペックはユーザーは基本的に興味がありません。

 

テレビやカメラを例にとると、「100万画素です!」というキャッチコピーがあるかと思います。画素数に詳しくない人は、何万画素といわれてもどのぐらい凄いのかわかりません。

各メーカーから販売されているテレビ・カメラの画素数を把握していて、100万画素が理解できる方ならいいですが、そういう人は少ないでしょう。

ユーザーがテレビを購入するときに「映像のきれいさ」は指標の一つではありますが、画素数で判断していない(できない)ということです。

 

ここに技術者目線になりがちな製造業の企業とユーザーにギャップがあります。

例はBtoC製品でしたが、BtoB製品でも起きていることは同じです。

そのため、マーケティング活動をするときには、技術の提供価値(ユーザーメリット)を定義しましょう。

提供価値とは「凄さ」に形容されるものではなく、どちらかというと「便利さ」です。

 

テレビを購入する人は以下のような人かもしれません。

  • 一人暮らしでテレビは帰ってきたらとりあえずつけるが、こだわりはない
  • ファミリーなので子供と一緒に楽しい時間を過ごしたい(子供部屋ではなくリビングに来てほしい)
  • 地上波は見ないので、YouTubeやNetflixをストレスなく見たい

 

上記のような人に画素数は刺さるでしょうか。

少なくともきれいな映像を見たい人入るかもしれませんが、他の優先順位の方が高そうですよね。

そういった人たちに響く訴求ポイントは何かを考えましょう。

 

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STEP2 俯瞰してベストな市場を選定する

 

所要期間:3週間

目標  :30以上の仮説を出す

 

研究開発を始めるときには、想定される用途・市場を検討しきることは少なく、いくつかの用途を想定できた時点で開発が行われます。

しかし、事業開発をする際は自社の技術の強みを生かせる市場、旨みが多い市場を選ぶことになるので、決め打ちでマーケティングすることは得策ではありません

 

では、可能性がある市場をくまなく検討するには、どうすればいいのでしょうか。

そんなときは、網羅性(MECE)があるフレームワークを使用することがオススメです。

ちなみに、ここで申し上げるフレームワークとは、3Cや4Pのような教科書に載っているフレームワークではありません。

ある目的のために網羅された情報の一覧を指します。

 

今回はは4つご紹介します。

事業企画に使えるフレームワーク

いかがでしょうか。

ご存知のものもあったかもしれません。

 

「名前は知っていて見たことはあるけども、市場選定で使用したことが無かった」という方が非常に多いのではないでしょうか。

 

上記フレームワークの情報をExcelに一覧化し、それぞれに対応する用途を検討していくことで網羅性がある検討が可能になります。

(あまり網羅性のある検討をしたことがない方は、シンプルな日本産業分類を使用してみるのがオススメです。総務省のページでは親切仕様になっており、一覧をExcel形式でダウンロードすることができます)

もちろん、ここに載っていなくても網羅性がある情報源はたくさんありますので、普段から使えそうなものがないかアンテナを貼っておくといいでしょう。

 

注意点として、フレームワークによっては数がものすごく多いので、不要な市場をカットする判断が必要になってきます。

例えば、日本産業分類大分類19、中分類97、小分類420、細分類1,269となっています。

小分類以降の市場を検討するのは現実的ではありませんよね。かといって中分類までで検討してしまうと、区分が大きすぎてターゲッティングができません。

そのため、予め「この市場はさすがに関係がないだろう」と判断できる市場は捨てて、それ以外の市場を検討しましょう。

 

「それができないからフレームワークを使うのでは?」と思う方も安心してください。

仮にここで選定した市場が、次にご紹介する仮説検証のステップでダメダメだった場合は、市場の見直しに戻ってくればいいだけです。(俗にいうピボットです)

仮説検証に早く移行するための通過点でしかないので、この段階で100点を取りに行かないようにしましょう。

60~70点ぐらいの市場選定ができたと思えば十分です。

 

先に記載しましたが、この仮説立案に使用する期間は3週間です。

それ以上かけて「この仮説でいいのだろうか」「もっといい市場があるはず。。」と悩む時間はもったいないです。

いくら自問自答しても、会議室で話し合ってもニーズは分かりません。

ユーザーに仮説をぶつけてみないと分からないことが多いので、3週間経ったらまずSTEP3の仮説検証を行いましょう。

 

「実務ですぐに使える!事業企画のフレームワーク集」をダウンロードしたい方はこちら

事業企画のフレームワーク集

 

STEP3 何回も仮説検証する

 

所要期間:4週間/1サイクル

目標  :3社以上の企業に訪問提案

 

いよいよ最後のSTEPになります。

想定ユーザーに仮説検証を行っていきましょう。

 

仮説検証という言葉になじみがない方もいるかもしれませんが、STEP2で有望だと仮説を立てた市場にいる企業にアポイントをとって提案することです。

お客様の状況や課題のヒアリング、それに対する製品・サービスの提案をすることで仮説がブラッシュアップされていきます。

 

3件ほど仮説検証を行うと、正しい仮説とそうでない仮説が分かるはずです。

その結果をもとに、2サイクル、3サイクルと仮説検証を重ねていきましょう。

 

「では何回仮説検証すればいいんだろうか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

これについて、「〇回仮説検証すればいい」という数字はありません。強いて言うなら買ってくれるお客様が見つかるまで、ということになります。

 

とはいえ数字がないとやりづらいと思うので、参考の数字を紹介します。

数々の新規事業を起こしてきたリクルートが、1つの新規事業で行う仮説検証の回数は何回だと思いますか?

考えてみてください。

 

正解は、、

「300回」です。

 

この数字より多い数字を思い浮かんだ方はなかなかいないのではないでしょうか。

そのぐらい膨大な件数の仮説検証を積み上げる必要があるということですね。

 

300回行うと、0回目時点の仮説はなくなっているといいます。

最初に考えたサービスとは全然違うものが出来上がりますが、それがユーザーが求めるものだということです。

ここに仮説検証の重要性が表れていると思います。

正確にいうと、提供価値を定義したり仮説立案をする段階で仮説検証をするために必要な項目を検討する必要があります。

サービスの中身や価格などですね。

 

ただ、それらは提供価値あってのものであり、仮説検証をすると「高すぎて全然価格が合わないよ」「その課題は持っていないかな」というように何度も否定されることになります。

否定されることを前提にすると、検証前に内容を練ることはほどほどにしておいた方がよく、検証した後に修正を加えていくことが最小の労力で済みます。

基本的に仮説検証を1回もしていないサービスは、「これはほしい」と言ってもらえる可能性は1%ぐらいなので、不必要に時間をロスしないようにしましょう。(補足すると、コスト抜きで内容だけのポジティブな評価を受けることはできますが、費用対効果に合わないのでいらないと言われることがほとんどでしょう)

 

仮説検証のチェックリストをダウンロードしたい方はこちら

仮説検証のチェックリスト

 

終わりに オフラインチャネルが使えない状況でどうするか

2ヵ月で新規顧客を獲得するマーケティング手法についてご紹介させて頂きました。

 

ただ、コロナ渦の今、この活動の壁となることがオフラインチャネルが使えないことです。

訪問による営業や、展示会への出展ができないので仮説検証が非常にしづらい状況となっています。

そのため、オフライン以外のチャネル、ウェブを利用した仮説検証・集客に移行することが必須といえます。

 

とはいえ、製造業はウェブマーケティングと相性が良くない部分もあるので、どのように取り組めばいいか分からない方は下記の記事をご覧ください。

<コロナ時代>高めるデジタルマーケティングの必要性。製造業が行うべき最初の一手は?【前編】

 

マーケティングにお困りの製造業の方へ

  • 技術の特徴は把握しているが、ユーザーメリットが見えない
  • 記事を読んでみたものの、自社の技術でどのように仮説を出せばいいのかわからない
  • 検証するといっても、既存顧客にはない市場に攻めたいのでネットワークがない

上記のような方は、無料で相談会を行っていますので下記フォームよりお問い合わせください。

R&D技術の新規事業立ち上げに詳しいコンサルタントが面談させていただきます。

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