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【連載 MaaSは日本社会を救うか?】第3回 シェアリング・自動運転のMaaS

全8回でお送りする「MaaSは日本社会を救うか?」

第2回「MaaS 3つのビジネス領域」では、MaaSを3つの領域に因数分解し、構造を理解しました。
(モビリティサービス、インフラ、スマートシティ)

第3回~第5回にかけて、3つのMaaS領域について深堀をしていきます。

今回は、2019年時点でMaaS関連で一番多くサービス提供がされている「モビリティサービス」です

 

 

1.モビリティサービス概要


モビリティサービスは大きく「シェアリング」と「自動運転」の2つになります。

現在、自動運転は技術面・法制度含め実用化に達していないため、シェアリングがサービスの中心です。

とはいえ、MaaSのカオスマップ(ある業界で提供されている代表的なサービスを一覧化したもの)をご覧になれば分かるように、現時点でも非常に多くのサービスが提供されています。 

MaaSカオスマップ


2.シェアリング

カオスマップを見て頂いて、「あ、このサービス知ってる!」と思われた方が多くいらっしゃるでしょう。

MaaSに限らず、シェアリングエコノミーの代表格であるUberや、akippaなど有名なサービスがありますね。

シェアリングはいくつかのカテゴリーがありますが、2つのカテゴリーを解説します。

 

カーシェア

カーシェアは、車を複数人でシェア利用するサービスです。また、カーシェアはBtoCとCtoCの2つがあります。BtoCは企業が用意した車を利用する一方、CtoCは一般人の自家用車を別の一般人が利用します。

ここまで聞くと、「レンタカーと何が違うのか?」と感じるかもしれません。いくつか違いはありますが、例えばカーシェアは駐車場に車が置いてあるだけで、レンタカーのような営業所にありません(無人提供)。

ご自身でレンタカー屋に行くと、店員から契約の説明を長々と受けると思いますが、カーシェアは一度登録すればそういったことは不要です。そうなると当然、人件費がレンタカーよりも安いので、利用料金も安くなる傾向にあります。

ただ、問題点としては車に傷をつけた場合、犯人の特定に時間がかかるということです。

レンタカーは、車を返却するタイミングで店員が傷のチェックを行いますが、カーシェアは1週間に1度というような頻度でしかチェックをしません。

カーシェアは、1台の車に1日で複数人が乗ることもありますので、傷をつけた人の特定が不便という側面があります。

代表的なサービスは、NTTドコモが運営しているDカーシェア(BtoC)です。登録した方は自動車を共同使用でき、10分~の短時間で利用可能なものもあります。

月額費用、ガソリン代は不要で、移動時間・距離に応じた料金が発生しますので、レンタカーより利用のハードルが抑えられています。

最近では、ガソリンスタンドでお馴染みの出光が、カーシェアの実証実験を行う発表をしました。2019年8月から、岐阜県にて超小型EVを活用したカーシェアリングサービス「オートシェア」を提供します。

 

オートシェア公式予約サイト


「なんでガソスタがカーシェア?」と思うかもしれません。

まず、当然ですがガソスタはEVの普及でガソリン車が減るため、市場が縮小傾向にあります。また、元々ガソスタはレンタカーを併設していることがありますので、親和性も高いです。

既に提供している事業との親和性も高いことから、新規事業としてカーシェアに手を出したということですね。

出光に限らず、今後他のガソスタ運営会社(コスモ石油、ENEOS)は同じような動きを見せていくと考えられます。

 

バイクシェア

バイク(自転車)のシェアサービスです。(私もこの概念に始めて触れたときに勘違いしていたのですが、二輪のバイクは指しません)

都内で働いている方は、町中でサラリーマンが小ぶりな自転車を漕いでいる姿を見かけないでしょうか?あれがバイクシェアです。

自転車は、ラストワンマイルの移動手段の一つです。駅前から目的地まで歩くと遠い距離を、スムーズに移動できることから普及しつつあります。

有名なのはメルチャリです(元々はメルカリが運営していましたが、別の会社に譲渡されました。

また、カオスマップには載っていませんでしたが、ラストワンマイルの手段は他にも出てきています。中でもインパクトが大きいものは、電動キックボードです。

有名な企業はLuup社です。2019年4月には、国内初となる自治体との連携協定を、静岡県浜松市・奈良県奈良市・三重県四日市市・東京都多摩市・埼玉県横瀬町の全国5自治体と締結しています。

現在は公道で走れないので、各自治体がある区域で許可を出している場合に限り利用ができます。欧州やアメリカでは既に普及していますので、日本も時間の問題かと思います。

脱線しますが、似たような移動手段が昔あったことを覚えていらっしゃるでしょうか? そう、セグウェイです。

人が乗るボードの部分が縦長(キックボード)か、横長(セグウェイ)かという点ぐらいが違いのように感じるので、なぜ似たようなものが今注目されているのか不思議ですよね。

セグウェイが失敗した理由は、以下のようなことが挙げられます。

・ブレーキがない→重心移動による操作のみ
・日本の歩道は狭い→ブレーキがないことと相まって、事故に繋がりやすい

セグウェイも電動キックボードも、2019年時点では公道を走ることができません。(たまに六本木付近でセグウェイで移動している人を見かけますが、明らかな道交法違反です。パリピあぶない)

操作性を考えると、電動キックボードの方が事故に繋がる確率が低いように思えますし、実際に海外では普及しているので、日本でも電動キックボードが普及すると考えられます。

 

3.自動運転

まず自動運転の現状を抑えたいと思います。日本では自動運転のレベル4が、2025年~30年にかけて商業用途で実用化するというロードマップとなっています。

商業用途ですので、トラックやタクシー、バスなど企業が提供する乗り物限定ということで、自家用車は対象に入っていません。

この時期に本当に提供されるかはまだ分かりませんが、時期が多少遅れることはあっても、商業用途の実用化がなされると考えて間違いありません。

そうなったときに、自動運転を活用して提供されるサービスが出てきます。

分かりやすいコンセプトは、「移動型商業サービス」です。従来はECや店舗で提供されたサービスが、移動する車によって提供されるようになります。

自動運転と他業態とのコラボ例

日本で移動型商業サービスのコンセプトを出しているのは、トヨタの「E-Palette」です。

これは、飲食業/物販などの他業界と提携し、自動車を店舗やテナントのプラットフォームを提供するものです。

東京オリンピックでは選手向けに提供することや、2020年前半には米アマゾンなどが参画し実証実験を開始予定となっています。

E-Palette

ステラアソシエとしては、MaaSのコンサルティングプロジェクトや、学生とのワークショップを通じて、「自動運転時代に提供される移動サービス」のスタディを重ねてきました。

このビジネスのポイントとしては、人が運転するほどでもないことや、運転によって制限される行動プライベート空間の価値を考えると発想が広がります。

1つ目を例に挙げると、バッテリー・タイヤ交換の自動化ができるようになります。今だとオートバックスやイエローハットに自分で車を移動させて、作業をしてもらうという手間がかかります。

しかし、自動運転になれば車が店舗に行ってくれさえすれば、人が運転していく必要がありません。車の往復と、店舗で待っていた無駄な時間を、他のことに充てられます。

バッテリー交換は一つの例で、買い物や子供の送り迎えなど、車を使ったルーティンワークで置き換えられることはたくさんあることに気づくでしょう。

このような世界になるのは、そう遠い未来ではありませんので、企業として、一般消費者としてどんな生活が送ることができるかぜひ考えて頂ければと思います。

 

今回はモビリティサービスについてご紹介しましたが、次回はモビリティサービスが普及するにあたって不可欠な「インフラ」について解説します。

出典一覧:
MaaSカオスマップ(2018最新版)を公開!

NTTドコモの新サービス「dカーシェア」とオリックスカーシェア、オリックスレンタカーが提携

出光昭和シェル 超小型EVによるカーシェアの実証実験を実施

福岡市でスタート!シェアサイクルの「メルチャリ」を使ってみた!

Luup社 HP

電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP」、浜松市との実証実験開始

トヨタがEVによる未来のeコマース「e-Palette Concept」を発表!Amazon、マツダ、ピザハット、Uberなどが参画

グローバル・モビリティ・サービス株式ファンド


 

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保木 佑介

保木 佑介

RPAホールディングスにて、総合化学メーカーや総合電機メーカーの研究開発部長を中心に、100以上の新規事業プロジェクトに従事。RPAホールディングスがマザーズ上場したことを機に、2018年5月当社を設立。得意領域は、MaaS、化学、社会インフラIoT、サイバーセキュリティ。趣味は猫を愛でること、文章を書くこと、フットサル。
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