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「オリンピック×テクノロジー」東京五輪に向けた医療・災害に関する取り組み

全3回でお送りする「オリンピック×テクノロジー」。

第一回と第二回のの記事では、国による東京五輪に向けた最新技術の取り組みや、代表的な9つのプロジェクトのうちの6つの新技術について紹介しました。

(前回記事を読んでない方はこちら)

第1回:「オリンピック×テクノロジー」東京五輪に向けたMaaSの取り組み

第2回:「オリンピック×テクノロジー」東京五輪に向けた5Gの取り組み

そして今回は後編として、9つの新技術の取り組みの中でまだ紹介していない残りの4つについてご紹介していきます。

 

 

1.2020年東京五輪に向けた最新科学技術 (第三回)

 

1.ゲリラ豪雨・竜巻事前予測

東京五輪では、ゲリラ豪雨等の予測の高度化及び、気象情報の迅速な伝達を行う仕組みが構築される見込みです。

日本では、超大型台風やゲリラ豪雨など異常気象における水土砂災害が年々悪化しており、大規模災害に対する社会構築(レジリエント)の取り組みが、非常に重要になっています。

この防災分野では、ゲリラ豪雨等の異常気象に伴う災害情報を正確かつ時間に余裕を持った情報提供を行うことで、東京五輪の大会参会者と来訪者の安全を確保する取り組みを行っていく方針です。

〈技術概要〉

内閣府

新型の気象レーダを組み合わせることでゲリラ豪雨の観測精度を向上させることが可能になます。

この仕組みによって観測情報を直ちに発信し、大会の観客や競技者の安全確保に貢献したり、屋外競技の中断や再開の判断に役立てたり鉄道などの運行情報への活用が可能になります。

この取り組みは、Society 5.0の「防災」領域に密接にかかわります。

Society5.0の防災領域では、「テクノロジーを活用し、災害を最低限に抑え早期復興を実現する社会」を実現しようとしています。

これには、自動車に対する避難経路誘導サービスや、災害発生後のアシストスーツや救助ロボットによる迅速な救助、さらにドローンや自動運転車による救援物資の最適配送などが含まれています。

そしてこのゲリラ豪雨等の災害事前予測は、災害被害を最小限に抑えるという観点で、被災前にその可能性を多くの人に発信する仕組みを構築するので、Society5.0防災領域の発達に大きく貢献する技術だと言えます。

 

2.高齢者/障害者向けの社会参加アシストシステムの強化

そして東京五輪では「障害者・高齢者が、健常者と同じように社会参加するアシストを」ということをテーマに、障害や年齢に関わらない様々な人々の社会参加を促進する技術が開発されていく見込みです。

この開発の背景には、障害者や高齢者等も全ての人が自らで大会に参加し、楽しめるようにするための取り組みであり、少子高齢化の先進国モデルの在り方として世界に発信していくという方針があります。

〈展開イメージ〉

内閣府

具体的には、センサー付き自動運転車いす、パワーアシストスーツ、最新競技用器具などが導入されていく見込みです。

この取り組みでは、全ての人が安全で安心に自立的に移動や動作が出来るように、障害者向けの福祉用具だけではなく、高齢者向けのものも含めた日本の福祉用具の技術力をパラリンピックやデモンストレーション等でアピールしていく方針です。

 

3.スマートホスピタリティ

スマートホスピタリティでは、「日本の観光関連産業を推進し、国内経済を活性化する」ということを目的に、海外からの来訪者に対して、移動や会話にストレスを伴わない仕組み構築の取り組みが行われています。

東京五輪では、選手並びに大会関係者や観光者が世界中から集結します。

それに伴って、今後さらに日本の観光産業を盛り上げるためには、外国人観光客が言葉や文化の違いによるストレスを感じずに快適に日本に滞在できるようにすることが重要課題になります。

そこで日本では、言語や文化の弊害を除いて、東京五輪の滞在を最大限充実したものにするため、様々な社会インフラに多言語翻訳システムの導入の取り組みが行われています。

〈展開イメージ〉

内閣府

具体的には、交通機関の案内看板やサインをデバイスを通すことで、それぞれの海外観光者の母国語に自動変換したりすることが出来たり、広くて分かりずらいスタジアム席への案内も、ナビゲート用デバイスを所持したスタッフにより、多言語翻訳システムとの組み合わせで訪れる人々をスムーズに案内することが可能になります。

また、大会運営や観光案内の役割を果たす多言語対応のロボット開発等も行われています。

 

4.ジャパンフラワープロジェクト

ジャパンフラワープロジェクトでは「最先端技術を活用し、夏でも多くの国産の花で街を彩る」ということをテーマに取り組みが進められています。

日本が生産する花は、オランダの国際園芸博覧会でも最高得点を獲得するなど、世界的に高い評価を受けています。

しかし近年輸出額は増加傾向にある一方で、国内では安価な輸入切り花が増加しています。

このプロジェクトでは、輸出や国内需要拡大を目指すために国産花の生産・供給体制の強化の取り組みが行われており、東京五輪では世界最高基準の日本の花で街や大会会場を彩り、日本らしさ演出をアピールしていく方針です。

〈技術概要〉

内閣府

具体的に国産花の生産や供給体制を強化するための取り組みとしては、日持ち性や早生性に関する品種改良や、夏場における安定した生産技術として局所温度制御、細霧冷房、病害防除技術の開発・改良が行われています。

〈ジャパンフラワープロジェクトの展開イメージ〉

内閣府

そしてこうやって作られた高品質の国産花は、東京五輪の競技会場近辺や空港到着ロビー、表彰式や選手村等で使われていく方針です。

 

2.最後に

従来のオリンピックと東京五輪が大きく異なる側面は、最新技術をエンターテインメントの側面で導入するだけでなく、社会課題を解決する今後世界で普及されるべきテクノロジーの検証の機会であることにあります。

今回の東京五輪で実現されるべき「科学技術イノベーションで世界を大きく前進させる」というテーマへ向けて、現在も水面下で企業や各省が実装に向けてプロジェクトを進めています。

あと1年ほどで始まる東京五輪ですが、今後スポーツやエンターテイメントの側面以外で、技術面において、どこまで我々に驚きを与えるのか非常に注目のポイントです。

 

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久本 勇馬

久本 勇馬

VRベンチャーで社内新規事業立ち上げを経験後、 弊社に参画。デザイン思考を用いた新規事業企 画や、グローバル案件を担当。 【得意領域】再生医療、グローバルスポーツビジネス、xRなど 【趣味】サッカー、囲碁