【世界初調査事例】廃棄されていた素材をエコに繋げる 人気チョコレート店が作る世界初のお香

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ステラアソシエ株式会社 代表 保木 佑介
マーケティング部 PR・SNSグループ PR広報チーム 兼 SNSチーム リーダー 新井 泉季 様
経営企画室 マネージャー 鈴木 愛 様

2000年の創業以来、横浜市内に複数の製造拠点を置き、カカオ豆の焙煎からチョコレートへの加工・販売まで一貫して行っているチョコレートデザイン株式会社。

クラフトチョコレート専門店である「VANILLABEANS(バニラビーンズ)」にて主力商品のショーコラなどを販売し、みなとみらい本店をはじめ6つの実店舗を運営している。

2007年にはフェアトレードチョコレート(カカオ生産者から適正価格で調達して生産されたチョコレート)を導入し、SDGsが謳われるよりも前から適正な取引に取り組んでいる。

これまではチョコレート商品を提供してきたが、今回はカカオ豆の種皮であるカカオハスクを用いた世界初のお香を開発した。

なぜ食品会社がお香の開発に至ったか、世界初を㏚する経緯を広報の新井様と経営企画室の鈴木様に伺う。

取材場所:バニラビーンズ ザ ロースタリー

― 簡単に会社のご紹介をお願いします。

鈴木 私たちはスーパーで買えるチョコレートと最高級チョコレートの中間に位置する商品を展開しています。ささやかなぜいたく品として「ショーコラ」「パリトロ」といったチョコレートを提供しています。

―お二人の担当業務を教えてください。

鈴木 全社に関わる事業を主に担当しています。事業戦略だけではなく新店舗の開発や、トレンド分析もしています。今回はカカオハスクのアップサイクル事業という文脈でお香の商品企画も担当しました。

新井 私は広報担当しております。弊社は主にカカオ豆からチョコレートを作っており、そのチョコレートを使ったスイーツやカカオを使った製品、また、店舗展開や商品展開を周知する広報活動をしています。

メディアの方向けにプレスリリースの配信や、1人1人のお客様に向けたメールマガジンの配信をしています。あとは店舗でアプリを所有しておりまして、アプリをお持ちのお客様向けのお知らせやInstagram、XといったSNSを中心に弊社の魅力発信をしています。

― 今回の商品について教えてください。

鈴木 カカオの皮の部分をカカオハスクと言うのですが、食べても美味しい素材では無いので通常は全て廃棄しています。それを使った商品を企画しました。

カカオハスクは砕くだけだと粗いので粉末状にして香料を混ぜてお香にしています。

他にサンダルウッドやシナモンを混ぜていますが、カカオの香りは残すように調整しているのでカカオの特徴が出ていると思います。

火をつけてお香として炊いても長く余韻が残って楽しめる商品です。

鈴木 弊社でチョコレートを作る過程でカカオハスクが年間約12t発生していました。

今まではそれを捨てるしかなかったのですが、やっぱり勿体ないなと。

このカカオハスクを使って何かできないかと考えました。

― 他の商品ではなくお香にした理由はなぜでしょうか、

鈴木 いろいろ探していく中で、食品以外のものでも使えるねと気づきました。

食品以外の雑貨などを探していたのですが、ハスクには香りが残っているのでそれを生かせるものと考えてお香に行き着きました。

― この商品が完成した時に広報サイドとしてはどうPRしたいと考えましたか。

新井 アップサイクルをテーマに活動していたので、今まで廃棄されていたカカオハスクを使ったエコなお香という部分をPRしたかったです。

また同様の商品はないのではないかと考えていたので、それであれば第三者に調査を依頼しようと考えました。

― 自社調べではなくなぜ調査会社を探したのでしょうか。

新井 チョコレート業界の関係者であれば今までにないということは分かってもらえると思いますが、消費者の方はご存知でないのではと思い、

第三者に証明してもらえた方がPRしやすくより多くの人に知ってもらえるので、確実に世界初と謳える方がいいと考えました。

カカオ豆を使ったお香は商品展開をしているので認知度はありますが、豆の表皮であるカカオハスクがどういうものかまでご存知の消費者は少ないと感じています。

― どのように調査会社を選びましたか。

新井 プレスリリースの期日が決まっていて日数もなかったので納期が最優先でした。

今まで外部の会社に調査を依頼したことはなかったので一から探しまして、数社相談しました。

その中でステラアソシエさんの納期が一番早かったんです。他社様だと納期を約束できないということだったのでステラアソシエさんにお願いしました。

保木 お問い合わせいただいた当月中の納品希望だったのでかなり急がれていたと思います。

ご契約前の事前調査でカカオハスクを使った商品は世の中的に少ないことを把握していました。
であれば全世界対象でも2週間で調査可能だと判断し、ご提案させていただきました。

新井 実際に2週間で調査をして頂けたので非常に助かりました。

― 世界初という言葉を使用したことによる反響は感じられますか?

新井 先日クリスマスケーキのメディア関係者向けイベントをしまして、来場者の方にはお香をお土産にしました。

世界初ということに興味をもっていただけ、媒体でも紹介しやすいという反応をいただけました。

今後ハスクを使って他の商品も考えているのでしょうか。

鈴木 お香だけでは12tを消費しきれないので、他にも企画をしていきたいです。

新井 みなとみらいの本店でもソファのカバーにハスクで使ったレザーを作って店舗に置いています。こういった取り組みを増やしていきたいですね。

【日本初調査事例】想定とは違う”日本初”から得られた、事業への相乗効果に迫る

グローバルWiFi事業、法人向け情報通信サービス事業などを通して個人・法人の課題解決に役立つサービスを手掛ける株式会社ビジョン。

そんな同社は、独自の完全プライベート空間確保型で提供するグランピングサービス『 VISION GLAMPING Resort & Spa 』を展開していくことを2022年1月に発表。

第一弾は、2022年よりビジョングループに参画し、泉質に定評のある『こしかの温泉』(鹿児島県霧島市)のリニューアルに始まり、第二弾には、富士山が見える絶好のロケーションである山梨県山中湖村に新たな施設の開業を予定している。

その中でも注目したいのが、『こしかの温泉』が日本初となる全室プライベートルームに源泉掛け流し露天風呂を有しているグランピング施設であるということである。

そこで今回は、営業本部 コミュニケーション&マーケティンググループを管掌され、執行役員を務める四条様(以下、四条)に、なぜステラアソシエ社の『ファーストテックサーチ』を選んだのか、No.1調査を通じて得られた効果などについてお話を伺った。

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株式会社ビジョン 執行役員 営業本部 コミュニケーション&マーケティンググループ管掌 四条 理 氏
ステラアソシエ株式会社 代表取締役社長 保木 佑介

目次

  1. ”売って終わり”ではなく、顧客満足を追求し続けることで事業を拡大
  2. 既存ユーザーと親和性が高い領域がグランピングだった
  3. 『ファーストテックサーチ』に調査相談したのは、根拠をもって日本初を謳いたかったから
  4. 想定とは違う日本初”が功を奏した
  5. 耳ざわりの良いNo.1や日本初/世界初に固執しないために
  6. 業界経験豊富なコンサルタントが貴社をサポート
  7. 経験豊富なコンサルタントが戦略立案から施策実行まで伴走します

”売って終わり”ではなく、顧客満足を追求し続けることで事業を拡大

ー まずはじめに、貴社の事業について簡単にお伺いさせてください。

四条 ビジョンは大きく分けるとBtoBの法人向けサービスとグローバルWiFiに代表されるBtoCサービスの2つの事業を営んでいます。

もともとは、法人向けサービスから始まっていて、市況の変化とお客様の声に傾聴することで提供サービスを拡充させていることが特徴的ですね。例えば、2012年より開始したグローバルWiFiも法人のお客様の海外出張時のニーズから生まれたサービスです。

ー その中で、四条さんはどのような役回りなのでしょうか?

四条 今は執行役員としてコミュニケーション&マーケティンググループを管掌しており、法人向けと個人向け両方のマーケティングを見ています。

個人的にマーケティングは経営全般のために顧客とのタッチポイントを管理する役割だと考えているので、管掌する範囲は広いですが、とても意義のある仕事です。

また、「モノを売って終わり」ではなく、お客様の需要と課題解決に向き合い、顧客の満足度を追求し続けることが他商材の販売に結果としてつながるという事実があります。マーケティング、営業に加えて佐賀にCLT(Customer Loyalty Team)というお客様のフォローを専門とするチームがあるのですが、3部門で連携するお客様対応提供を重視しています。

既存ユーザーと親和性が高い領域がグランピングだった

ー なるほど、グランピング事業もそうしたお客様とつながるクロスセル施策の一環だったのでしょうか?

四条 そうですね。グランピング事業は個人向け旅行関連サービスの一環として、2021年5月に事業を行うことをリリースしました。

2010年から始めた国内向けのWi-Fiルーターレンタルサービスは海外渡航者向けのグローバルWiFi、姉妹サービスの訪日旅行客向けと、これまでに延べ約1,500万の旅行好きユーザーにご利用いただいています。WiFiレンタルユーザーに親和性の高い旅行関連サービスの提供強化を策していた際に、グランピングという宿泊形態の可能性を強く感じたのです。

実は「こしかの温泉」は弊社代表の佐野がオーナーを務めており、同グランピングはコロナ禍の前からサービス提供しています。

ー たしかに、テレビなどでもグランピング特集はよく見かけるようになりました。

四条  もちろん、単に流行りそうだからという理由だけではなく、従来の宿泊施設では満たすことのできない需要を満たせるものであったことが注目した理由です。キャンプ道具を持たずとも自然の中で豊かな宿泊体験ができることはもちろん、ペットとの宿泊や焚き火・バーベキューなどホテルや旅館とはまた異なる宿泊体験が可能です。コロナ禍でも密にならないからということでキャンプやグランピングの需要が顕在化し、利用が増えたことで関心も高まりました。

そこから、2022年1月に『こしかの温泉』をグループ化することでグランピング事業を本格稼働しており、プライベートスペース内でご利用いただけるテントサウナを設置するなどサービスの拡充に取り組んでいます。自社として手掛ける最初の施設が今夏に山中湖にてオープン予定です。

コロナ禍によって、主力のグローバルWiFi事業は大きな打撃を受けましたが、既存の顧客基盤を活かしながら企業のリモートワーク移行ニーズに応えたり、グランピング事業のような新しい価値を提案できることは、お客様の需要に速やかに応えに行くビジョンの強みだなと改めて実感しています。

『ファーストテックサーチ』に調査相談したのは、根拠をもって日本初を謳いたかったから

ー 貴社のグランピング施設にはどのような特徴があるのでしょうか?

四条 『こしかの温泉』のグランピング施設は全室プライベートスペースであり、宿泊に必要なものがすべてそこに揃っていることが特徴なのですが、その中でも特筆すべきなのが全室に源泉掛け流しの露天風呂を有していることです。

このような施設はかなり珍しいこともあり、マーケティング施策において「日本初」を謳う訴求を検討したのですが、「本当に日本初といった謳い文句を使っていいのか?」という議論が社内で起こりました。

ー そこで国内初であるかを調査する必要が生まれたんですね。

四条 実は、グローバルWiFi事業において別企業にNo.1調査の依頼を行ったことはあるのですが、日本初といった元祖表記をしてよいのかを調査したことはありませんでした。

なので、そもそもNo.1調査などを行っているサービスがあるのかを検索していた時に見つけたのが、ステラアソシエさんが提供している『ファーストテックサーチ』です。

ー 他サービスと比較検討はされたのでしょうか?

四条 はい、もちろん他社さんとも比較させていただきましたが、ステラアソシエさんが一番連絡が早くてコミュニケーションがスムーズだったことに加え、これは弊社都合なのですが短い納期でも柔軟にご提案いただけたことが決め手でした。

当時は急ぎで調査に着手したかったこともあり、プロジェクトを進めるうえで柔軟かつ迅速なコミュニケーションは必須だと考えていたのですが、安心してご依頼することが出来ましたね。

想定とは違う日本初”が功を奏した

ー 今回のNo.1調査はどのように進められたのでしょうか?

四条 ステラアソシエさんには、調査設計から実際の調査までを行っていただいたのですが、調査前にまず「国内にある対象グランピング施設の高い網羅性」の検討から実施いただいています。

また、それに加えて、施設ごとに知りたい項目も把握可能なのかを事前調査いただいており、適切な調査が行えることをご提案いただけたのは良かったです。

そこから実際に200施設ほどを調査いただいたのですが、一つ問題が発生しました。

ー 具体的にお伺いさせてください。

四条 調査を進めてもらう中で、当初に想定していた項目で日本初を謳えないことが判明したんです。

ただ、「複数の要素を組み合わせると、より具体的な内容で日本初を謳える」とステラアソシエさんにご提案をいただくことで、想定からは少し軌道修正をしましたが最大の目的であった日本初を根拠をもって訴求出来るようになりました。

これは単なる発注者と受注者の関係ではなく、同じゴールを目指して併走いただけるパートナーとしてのスタンスでプロジェクトを一緒に進めてくださったステラアソシエさんだったからこそ得られた成果だったと思っています。

ー そのように仰っていただけて嬉しいです。よろしければ、調査から得られた効果についてもお聞きしたいです。

四条 一番大きな効果だと考えているのが、従業員や関係者の中で私たちの強みを共通言語化できたことです。現地で働くフロントスタッフからマーケティングやセールスに携わるメンバーまで、同じ言葉で一環した訴求を行えるようになったことは大きいですね。

そういった意味では、当初想定していた日本初ではない形に着地して良かったなと感じています。

ー それはなぜでしょうか?

四条 より具体的な訴求が出来るようになったからです。例えば、実際にマーケティングチームでセールスコピーなどを考えている時に、他施設でも謳えそうな内容ではなく、私たちだからこそ謳える内容を考えやすくなったと感じます。

もちろん、日本初といったキーワードのみで全てのお客様に対して魅力が届くわけではないので濫用は避けますが、新規層に対して認知獲得や興味喚起に活かしやすいので助かっています。

耳ざわりの良いNo.1や日本初/世界初に固執しないために

ー 今後の展望についてお聞かせください。

四条 これは社内で話していることですが、将来的には旅行者にとってグランピング施設はホテルや旅館といった宿泊施設と同じように当たり前の選択肢になり得ると考えています。もちろん、ホテルや旅館のおもてなしは優れた顧客体験だと思いますが、自然を感じながらお客様それぞれの価値ある時間を過ごしていただくことができるグランピングには他では満たせない需要を満たすことができます。

このような未来を実現するために、まずは提供価値を磨くことで、宿泊してもらう方にとっての体験価値を高めていきたいと考えています。

宿泊してもらう人数を増やすということも意識はしますが、それ以上に宿泊してもらった方により高い割合で満足してもらえている状態を目指したいです。

ー 最後に、四条さんにとっての『ファーストテックサーチ』の意義をお伺いしたいです。

四条 やはり、共通言語を作ることで、一貫したユーザーへのコミュニケーションが行えるのは大きいです。

また、これは副次的な効果ではありますが、No.1や日本初といった訴求が可能となると関係者のモチベーションにも寄与するのだと気づきました。

一方で、気をつけなければならないのが、定量だけにこだわるということです。耳ざわりの良いNo.1や日本初/世界初を無理やり捻り出すのではなく、客観的なファクトを元に具体的な共通言語を作ったり、中の人に好影響を与えたりすることに本当の意義があるので、自社に本当に求められる訴求軸をステラアソシエさんと一緒に模索することをおすすめしたいですね。

ー 四条さん、お忙しいところありがとうございました。

【世界初調査事例】VAIOがディスプレイ市場に参入 世界初調査で再びステラアソシエを選んだ理由

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ステラアソシエ株式会社 代表 保木 佑介
VAIO株式会社 開発本部 プロダクトセンター シニアUXマネージャー 鈴木 陽輔 様

2014年にソニーから独立し、唯一無二の商品開発を行っているVAIO。

PC市場がコモディティ化する中で、2021年には「世界初の立体成型フルカーボンボディのノートPC」であるVAIO Z を発売するなど他にはない特長をもった商品を提供している。(「世界初の立体成型フルカーボンボディ」を実現したVAIOの挑戦。ステラアソシエによる世界初調査の裏側と成果に迫る

今回は設立10年の節目に、PC事業の周辺分野としてVAIOとして初めてのモバイルディスプレイ「VAIO Vision+」を開発。他にはない価値を追求し、世界初のモバイルディスプレイが誕生した。

PC同様に競合が多く存在するモバイルディスプレイ市場になぜ参入したのか、開発秘話と世界初調査を実施した経緯について話を伺う。

世界最軽量の誕生秘話

― まずはじめに、鈴木様の業務内容や役割について教えてください。

鈴木 開発本部 プロダクトセンターにて商品企画を担当しています。具体的にはPC及びその周辺のUXにかかわるソリューションや製品の開発に携わっています。

昨今のテーマとしてコロナ以降、企業ではweb会議が中心になり、オンラインでのコミュニケーションの質を上げることが求められていると考えています。

そのニーズに対し、解決できる商品企画を行うのが私の仕事です。

VAIO株式会社 鈴木様

― なぜ、VAIOがモバイルディスプレイを作ることになったのでしょうか。

鈴木 中核事業はPC事業ですが、その体験をさらに拡張するためにPC以外のテーマについても企画を行っています。

まずは作業領域の拡張に取り組もうと考え、モバイルディスプレイを開発しました。

モバイルディスプレイやアクセサリ事業を立ち上げるために開発したわけではなく、あくまでコンピューティング体験をより良くするために、いつでもどこでも使える拡張ディスプレイを選びました。

仕様、スペックから決めるのではなく使い心地や体験ありきで商品企画しています。

― 軽量化に注目したのはどういう理由でしょうか。

鈴木 私自身、リモートワークが始まり自宅に大きいディスプレイを買い、ノートPCの上部に設置し上下二画面で仕事をしてみるとその便利さを実感しました。

単に画面が広くなるのではなく、姿勢も良くなることにも気づきました。

上下二画面になるとメイン画面が下部のノートPCではなく、上部のディスプレイ側になります。目線が高くなるので姿勢が良くなるのです。

別のシーンでは、カフェで作業している人を観察しているとPCを机より高く持ち上げて画面を見ている人が一定数いることに気づきました。

恐らく、下を向くよりも見やすく、肩腰に負担にならないから自然にその動作をしているのだと思います。

― まさにUX、体験から考えるということですね。

鈴木 そうですね。最近ではリモートからオフィスに出社して元の働き方に戻る傾向にありますが、リモート併用なのでオフィスが狭くなっていてディスプレイが置ける場所がなかったり、サテライトオフィスに行く日もあるなど働き方は多様化しています。

そこで、リモートワークで経験した拡張ディスプレイがどこにいても使いたいと思い市場を見てみました。モバイルディスプレイの多くは15~16インチなのですが、重さは1㎏ぐらいとモバイルといいながら重いなというのが率直な印象です。

ここに着目し、モビリティが得意なVAIOだからこそ提供できるモバイルディスプレイがあるのではと思い至りました。

気軽に持ち運んでもらえる本当のモバイルディスプレイ。そのためには十分に軽いことが必要です。更には、もし持ち運んだ先で使わなかったとしても、「わざわざ持ち運んだのに」と損をした気分にならないほど軽量なことも必要だと。

そしてディスプレイを広げるうえで横に置くと目線が横になるので、これではあまり拡張ディスプレイの良さが活かせない。上下二画面で使えるディスプレイにしようと。

その結果として、上下二画面で使える世界最軽量* のモバイルディスプレイ「VAIO Vision+」が誕生しました。

VAIO Vision+をノートPCの上に設置した状態。持ち運び用のカバーが設置時の支えになる

* 325gのモバイルディスプレイ。14インチ以上のモバイルディスプレイとしては世界最軽量

保木 今日初めて実物を見て触らせてもらいましたが、液晶のサイズは普通のノートPCと同じぐらいの大きさなのに薄く軽かったです。いい意味でサイズと持った時の重さがマッチしてない驚きがありました。

鈴木 ありがとうございます。

ちなみに14インチというのもなんとなく決めたわけではなく、ノートPCの主流サイズが13~14インチなので同じ大きさがいいだろうということで14インチにしました。

またこのサイズを従来の横置きで使用すると机が狭い場所では使えません。ホテルやカフェなど小さい机でも上下二画面は有効活用できます。

数字で伝わらない価値を届ける手段が世界初調査だった

― なぜ、世界最軽量を題してマーケティングを行おうとしたのでしょうか。

鈴木 自分達でネットで調べる限りは世界最軽量である可能性が高いと思っていました。

しかし、数字を見てもらうだけでは軽さは伝わりません。

そのため1つのワードで軽さを伝えたかったのですが、「世界最軽量」が一番分かりやすいと考えました。

どのくらい軽いのか、なにと比べてなどもありますが、一つのワードで絶対的に軽いことを示したかった。

また、将来的にグローバルに展開する可能性も考えると、「国内メーカーの中で最軽量」といった制限は設けず、グローバルに言える「世界最軽量」が有効だと考えました。

― 自社でも調査を行っていたということですが、自社調べにしなかったのはどういった理由でしょうか。

モバイルディスプレイはここ数年で急速にその製品数がグローバルに増えており、メーカー数だけでも膨大であったことから自社調べと言っても難易度が高いと考え、調査をお願いしようと思いました。

― 自社調べでは難しかったということですね。ステラアソシエとは2回目のお取組みになります。なぜ、他の調査会社ではなく今回もステラアソシエを選んだのでしょうか。

鈴木 ステラアソシエさんとは、以前もVAIO Zの世界初調査を行っていただいてました。(「世界初の立体成型フルカーボンボディ」を実現したVAIOの挑戦。ステラアソシエによる世界初調査の裏側と成果に迫る

その時の担当がいまも同部署におり、実は私も当時の調査を依頼する際に横で見ていたのですが難しい調査になると思っていました。

立体成型フルカーボンボディは今回の軽さとは異なり数値で表現されるものではないので、PCメーカーのスペックを見てもすぐに判別がつきません。

しかしステラアソシエさんは大企業向けの新規事業コンサルティングを普段やられていて製造業、技術コンサルティングに強いということもあり商材理解をしっかりしていただけました。

難しい課題に共に取り組んでいただいたこと、商品の本質を見抜いたうえで、調査をしていただいたことをお聞きしており、今回もステラアソシエさんに声をかけさせていただきました。

今回の製品においても、案件のご相談を始めた段階ではあまり情報が整理できていない状態でしたが、軽さだけでなく、持ち運びしやすさや上下2画面設置できるカバースタンドなどすぐに製品の本質を見抜かれていたことには驚きました。

保木 正直、前回のVAIO Zの調査は弊社でお受けしたNo.1調査の中では難しかったです。

しかし、新規事業コンサルティングの際はもっと難解な要素技術や化学分野のテーマに携わらせていただいているので、コンシューマー製品の特徴、本質を捉えること自体は問題ありませんでした。

その特徴をどうやって調査で判定していくか、何を見ればいち商品の成型方法が判定できるかということに力を注いだプロジェクトでした。

今回の質量を調査するということについても、商品ページやカタログを見て判断すること自体は容易ですがどこまで調査するのかがポイントです。

世界で流通するPC全てをリストアップすることは不可能に近いですし、「世界最軽量」を謳うことが目的であればその必要性もありません。

何をどこまで調査する必要があるか、たしかに要件定義をすることが調査会社だからこそお役に立てる部分だと考えています。

ステラアソシエ株式会社 保木

― 結果として世界最軽量となりました。率直な感想をお聞かせください。

鈴木 世界初となり良かったです。ただ、単に数字や軽さだけを追い求めたのではありません。

上下二画面で使えることや、素材に熱可塑性カーボン(CFRTP)を使用することで耐衝撃性と薄型化を図りました。持ち運びやすさと実用性の両立ができ満足しています。

― 既に販売がされていますが、反響はいかがでしょうか。

鈴木 多くのWebメディアの記事では見出しとして「世界最軽量」が使われ、直ぐにその軽さがお客様に伝わりました。これは狙い通りです。

また製品発表した際にはSNSで普段PCの新製品を発表する時以上に、たくさんの方から好意的な反応が得られており、製品の魅力がより多くの方の目に留まったことは収穫でした。

― 最後に今後の展望を教えてください。

鈴木 今回はVAIOとして2回目の世界初となる商品ですが、今後もユニークな商品を提供していきたいです。

働き方が多様化する中で、求められるコンピューティング体験を作っていきます。

オープンイノベーションで中小企業にしかできない商品開発を!世界初「立って寝る」仮眠ボックス

【写真左から】
ステラアソシエ株式会社 代表取締役社長 保木佑介
広葉樹合板株式会社 代表取締役 山口 裕也様

合板卸売業を主軸として合板の加工・製作や什器の設計も行う広葉樹合板株式会社。

同社は「立って寝る」という斬新なコンセプトのジラフナップを提供している。

今回はどんなきっかけで今までにない商品が生み出されたのか、世界初調査によってどんな広告効果を期待したのかを伺った。

「立って寝る」商品の開発背景

ー まずはじめに、貴社の事業について簡単にお伺いさせてください。

山口 合板や化粧板の卸、化粧合板を使った店舗関係の什器の製造を行っています。

創業してしばらくは卸業中心でしたが、それだけではなく事業の幅を広げようと考えて商品開発をするようになりました。

今回開発したジラフナップもその一つです。使う材料や技術は既に持っていたのでチャレンジしました。

ジラフナップは、立ったままの姿勢で容易に仮眠が採れる仮眠ボックスです。「giraffenap」の名前の由来は、キリンが立ったまま短時間睡眠をとる“ジラフ”からきています。

世界では仮眠を積極的にとることで生産性に良い影響を与えることが、アメリカのNASAなどが行った多くの研究によって示されています。これからは積極的に眠気を受け入れながらジラフナップで仮眠をとっていただくことにより、今まで以上に効率的で充実したパフォーマンスを維持していただくことが可能です。

2023年12月からは蔦屋様よりお話をいただき、来店者数一日平均20,000~25,000人と言われるここ二子玉川にある蔦屋家電に展示することが決まりました。

ーどういった経緯でジラフナップが生まれたんでしょうか。

山口 2021年に「知財ビジネスマッチング」イベントにおいて株式会社イトーキ様と出会い、「仮眠ボックス」のライセンス説明を受け、世界初のユニークな商品開発をしてみたいという強い思いが私の中にこみ上げました。

翌年のライセンス契約の数日後、報道を見た北海道大学の石橋教授よりコロナ渦を鑑みて「高清浄環境システム」という、ボックス内の二酸化炭素がガス交換膜を通して酸素に入れ替え、塵粒子を急速に減少させる特許をご提案いただきました。

また、石橋教授からご紹介いただいた台湾国立成功大学のSheng-Fu Liang教授からも、立って寝た場合の睡眠評価に興味を持っていただくことになります。

そのことがきっかけとなり、広葉樹合板・北大・NCKUによる3機関での共同研究が開始しました。結果、許容可能なガス分子濃度制御性により短時間でのクリーンルーム環境をつくることが実現され、同時に被験者が比較的長時間、最適な仮眠にふさわしい睡眠環境を実現しました。

ー国境を超えた壮大な研究開発ですね。商品が完成するまでの苦労はどういったものがありましたか。

山口 快適と安全の二つにフォーカスしてゼロからの開発は膨大な選択肢の中から、一つ一つ吟味し試行錯誤を繰り返し、まさに手探りの状態でした。

構造体の選定・体を支持する支点とそのポディショニング・耐震試験のエビデンス・消防法・海外を含めた関連の保護を強化して市場優位性を高めるための知的財産権・もちろん睡眠のエビデンスなどなど数え上げたらきりがないほど多くの壁を乗り越えることができたのは、より効率的で充実したパフォーマンスを維持するため、積極的に眠気を受け入れて仮眠をとることで、疲労やストレスから解放され、リフレッシュしたクリアな頭で集中して仕事や作業に取り組むことができる、これまでにない画期的で革新的な商品を作りたいという思いでした。

人の目を引き付ける魅力あるものでなければいけないという思いから外観のデザインにもこだわりました。

近未来をイメージした「スペーシア」に取り入れた12面体のユニークなデザインはミッドセンチュリー時代のバックミンスター・フラーのジオデジック・ドームの形がベースとなっております。また国産材をふんだんに利用した「フォレスト」には京都の町家や日本庭園を思わせる和の空間に調和する風格を備えた格子状のデザインを採用しました。

ー単にコンセプトが面白い商品で終わらないように快適性を追求しつつ、デザイン性にもこだわったということですね。

山口 そうですね。その甲斐あってか、未だこれから開発を始める段階の2022年ライセンス契約発表後まもなく一通のメールがネスレ日本株式会社様から届きます。内容は「ネスカフェ睡眠カフェ」とのコラボレーション依頼でした。

カフェイン入りのコーヒーは摂取してから30分程度で体内に吸収され始めると言われているため、コーヒーを飲んだ後15~20分程度の短い仮眠をとって目が覚めるとほぼ同時にカフェインでシャキッとし、その後のパフォーマンスに役立つといわれています。このことを「コーヒーナップ」と言います。

この「コーヒーナップ」と立ったまま寝る「ジラフナップ」のコラボを2023年8月より原宿にあるネスカフェ仮眠カフェで企画するという内容でした。

製品もできていないこれから開発する段階ではありましたが前向きな返信をさせていただきました。今思えばこのことも一年間で製品化するという原動力の一つとなっていたと思います。

そして去る2023年8月22日にネスカフェ原宿に「スペーシア」「フォレスト」計4台設置をして無事開催に至りました。初日はマスコミ限定ということで弊社の常務が対応しましたが大勢のメディアが詰めかけていたとの報告を受けています。

国内海外のTV、ラジオ局、webニュース各局、新聞社、雑誌社など多くのメディアでご紹介いただきました。

マスメディアから求められた「世界初の根拠」

ーステラアソシエに依頼頂いた段階では既にリリースされていたと思います。どちらかというと商品の発売前に調査させていただくことが多いのですが、今回はなぜリリース後でメディアからの反響も多い状態で相談いただけたのでしょうか。

山口 我々も世界初の商品だと思って開発していたので、そこに疑いはありませんでした。

そんな中テレビで取り上げていただく機会があり、放送局に世界初を謡いたいと申し出たところ、広告審査協会から「世界初の根拠はありますか?根拠が無いなら世界初表記を使うことは難しい」と言われました。

この時初めて、世界初の根拠と呼べるものは無いことに気づき第三者による調査が必要だと思いました。

ーマスメディアに取り上げてもらう際に根拠が必要だったということですね。
調査会社は何社か候補があったんでしょうか。

山口 ありましたが、ステラアソシエさんのHPにて導入事例を見た際に、実績が豊富だという印象を受けて選ばせてもらいました。

他にも世界初調査やNo.1調査をする調査会社はありますが、製造業を中心とした新規事業コンサルティングが主事業ということで技術に強いのではないかという考えもありました。

問い合わせした後に打合せで紹介してもらった事例では大企業だけではなく中小企業の事例もあり、依頼ができると判断しました。

保木 実はジラフナップはメディア露出もしていたので問い合わせをもらう前から認知していました。

初めて知った時も「立って寝るという商品は見たことないな」と思ったのですが、改めて案件として考えると調査設計の難しさがありました。

ーどういった難しさがあったのでしょうか。

保木 世界初調査、及びNo.1調査全般に言えることですが商品は2つに分かれます。

1つは競合多数で調べる対象が多いもの。もう1つは競合と呼べるものが少なく調査対象の定義が難しいものです。ジラフナップは後者です。

コンセプトが斬新なので競合が少ないことは良いことなのですが、その唯一性を証明するにあたってどんな方法で何を調べればいいのか。ここはNo.1調査に熟練している調査会社の知恵が役に立つところだと思います。

ー調査の進め方やレポートの印象はいかがでしたでしょうか。

山口 契約前に調査の定義や調査方法の提案をもらったので契約後に感じたギャップのようなものはありません。

レポートについても同じコンセプトの商品はないという結果でしたが、その中でも類似商品については画像とともに何が異なるかの説明も添えられていたので不安感は無かったです。

保木 ありがとうございます。

ーありがとうございます。

山口 今回は似たような商品が無いと想定されたので何を競合として見るべきか考える必要がありました。
また通常は商品化前に調査するのでクライアントの商品は出てこないですが、既にジラフナップは商品化されており国内外のメディアで紹介されていたのでジラフナップが調査の中に入らないように調べる必要がありました。

ー最後に今後の展開を教えてください。

山口 開発当初はオフィスでの利用を考えていましたが、私たちが考えている以上に睡眠に困る場所があり活用いただける用途があると驚いています。

すでに財閥系商社様などからご予約をいただいておりますが、全国の医療現場や交通系機関、大手遊技場会社様や、大手電子機器メーカー様が開発した仮眠起床AIシステム搭載のご案内など、また海外からは中東のエアラインや香港の空間コンセプトデザイン会社様からアプローチをいただいています。

また、保管・デリバリー・設置については大手倉庫運送業者様に依頼する流れで進んでおります。商品のご提供方法として販売とリースの2本立てで考えており、それらの商品提供管理システムを構築して2024年1月より商品の提供を開始いたします。

ー今回の成功事例をもとに、今後もオープンイノベーションに積極的に取り組んでいくのでしょうか。

山口 そうですね。大企業様に眠っている技術を商品化するのはある意味サステイナブルだと考えています。なのでそのような機会があればチャレンジしたいですし、弊社に限らず知財を有効活用する仕組みが広がればいいなと思っています。

ー本日はありがとうございました。

インタビュー後、体験をさせていただきました。

山口 まず台に立ち、下半身を後ろに倒して安定させます。
おしりを乗せる高さは調節できます。

山口 次に頭を乗せる台の調節です。ここも高さを調節できるので自分の身長に合わせることができます。

保木 縦に伸びているバーが調節する受けになってるんですね。

山口 そうですね。眠っていただくために安定感が必要だったので強度を大切にしました。試されますか?

保木 ぜひお願いします。高さを合わせると下半身がしっかりホールドされますね。

山口 頭を乗せる部分も簡単に調節できます。

(5分ほど休ませてもらいました)

保木 初めてだったので不思議な感覚ですが体が休まったように感じます。デスクで寝るよりも体が痛くないですね。

山口 ありがとうございます。日本人は睡眠不足の人が多いのでジラフナップを使っていただいて世の中のビジネスパーソンの生産性向上に繋がることを期待しています。

「世界初の立体成型フルカーボンボディ」を実現したVAIOの挑戦。ステラアソシエによる世界初調査の裏側と成果に迫る

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VAIO株式会社 PC事業本部 PCビジネス統括本部商品企画統括部 商品企画課課長 渡辺 玄 様
ステラアソシエ株式会社 代表取締役社長 保木 佑介

「挑戦に火をともそう。」をブランドミッションに掲げ、デザインと技術を武器に世界へ挑戦するPCメーカー、VAIO株式会社。2021年2月18日、満を持して発表された同社のフラッグシップモデル「VAIO Z」は、「世界初*の立体成型フルカーボンボディ」の採用が大きな話題となった。
成熟市場であるノートPC市場にとって、厳格で客観的な裏付けが必要となる「世界初」という表現。同社はなぜ「世界初」であることにこだわり、その調査を行なうパートナーとしてステラアソシエを選んだのか。商品企画課課長である、渡辺 玄 氏にお話を伺った。
*ノートPC筐体を構成する全ての面で、立体成型を行ったカーボン連続繊維素材を使用することにおいて。2021年1月6日時点 ステラアソシエ調べ。

ソニー独立後、本格的な世界展開に挑むVAIO株式会社

ー 貴社の事業内容をお聞かせください。

渡辺 中核事業であるノートPC事業をはじめ、新規事業ではIoT機器やロボティクス技術を活用したドローンの開発なども行なっています。
弊社は2014年にソニーから独立しまして、今年7年目を迎えました。これまでPC事業においては国内企業向けに集中したことでビジネスを安定させることができました。そして、次の挑戦として本格的なグローバル展開を目指すこととなったのです。もう一度、世界に「VAIO」ブランドを広げていくことは、ずっと考えていました。
社内で議論を重ねた結果、グローバル展開を成功させるためには我々VAIOを象徴するストラテジックな製品が必要という結論に至り、そこから生まれたのが先日発売されたこの「VAIO Z」です。

世界初の立体成型フルカーボンボディを採用した「VAIO Z」

ー 「VAIO Z」のコンセプトについてお聞かせください。

渡辺 「VAIO Z」は「最上」「究極」を意味する「Z」を冠するVAIOのフラッグシップモデルで、ソニー時代のモデルから数えて第5世代目になり、数多くの技術的革新を行ってきました。
今回のVAIO Zにおいては2つの重要な目標を掲げ開発に臨みました。1つは最高のコンピューティング体験をお客様にお届けすること。特別なグレードのCPUを搭載しており、長年の知見を凝縮した独自の高密度基板と放熱設計により、一般的なモバイルPCとは段違いのパフォーマンスを発揮します。
もう1つが、高性能CPUや大容量のバッテリーを詰め込んでも軽量かつ堅牢であるという、これまで不可能と思われていた性能とモビリティの両立を高い次元で実現することです。そのために筐体にはより優れた素材を使う必要があり、そこで採用されたのが「立体成型フルカーボンボディ」です。
カーボンファイバー(炭素繊維)は強靱さにおいて従来素材を大きく凌ぐ反面、加工難度が極めて高いという課題があり、これまでPC製品には天板といった一部の平面パーツにしか使われていませんでした。
早い時期からカーボンファイバーの成型技術に取り組んできた弊社だからこそ、ノートPC筐体を構成する全ての面を立体成型カーボンファイバーとする、世界初のチャレンジに挑むことができました。

ー なぜ「世界初」のチャレンジにこだわったのでしょうか。

渡辺 グローバルにマーケティングを展開していくためには、「世界初」であることが強いセールスポイントになると考えたからです。ノートPCは成熟した産業であり、技術的に他社製品と差別化するためには、革新的な技術をもちいた軽量化を実現する必要がありました。

新規事業への支援実績からステラアソシエに調査を依頼

ー マーケティングメッセージとして「世界初」を広めていく上でどのような課題があったのでしょうか。

渡辺 世の中や市場に対して「我々が初めてである」というメッセージを伝えるには、第三者による客観的な調査が必要でした。企画・開発段階から、技術者たちも世界初のチャレンジであるという認識はありましたが、そのままでは主観的なメッセージにしかならず、説得力や信頼性に欠けます。
また、正確なNo.1調査を行うには難易度が高かったことも課題でした。「世界最軽量」「世界最速」といった数値上のスペックは調べやすいと思いますが、今回の「世界初」はカーボンファイバーの立体成型という筐体の話であるため、カタログを調べるだけではすぐに判明しません。「世界初」という表現には、世の中や市場からより厳しいチェックが入るため、専門的な知見を持った協力会社を探していました。

ー No.1調査を行う企業として、ステラアソシエを選ばれた理由をお聞かせください。

渡辺 決め手となったのは、ステラアソシエが単なる調査会社ではなく、新規事業の開拓、支援を手掛けられていたことです。ただこちらが依頼した内容を調査するのではなく、事業や製品を考えた上でNo.1調査をしていただけることに魅力を感じました。
実際に案件のご相談をした際に、製品として訴求したいポイントをすぐご理解いただけまして、それに対してどういった調査をするべきか、どういったメッセージに落とし込んでいくべきか、といったご提案も嬉しかったですね。
また、弊社の新しいブランドミッション「挑戦に火をともそう。」と、ステラアソシエの「挑戦を支える」というミッションにシンパシーを感じられたことも、スムーズにお取り組みできたことの背景にあると思います。

オンラインを駆使し、世界中のメーカーと機種をリサーチ

ー 今回ご依頼いただいた内容の詳細をお聞かせください。

渡辺 今回ご依頼させていただいたのは大きく2点です。
・ノートPC筐体を構成する全ての面で、立体成型を行ったカーボン連続繊維素材を使用されたPCとして世界初か。
・インテル® Hシリーズプロセッサー採用ノートPCにおいて世界最軽量であるか。

ー No.1調査はどのように進められたのでしょうか。

保木 網羅性を担保するために主要ノートPCメーカーから調べました。ノートPCが携帯用として発売されはじめた時期から年代ごとに、グローバルシェア上位の企業をリストアップしています。次に各企業のブランドをリストアップし、カーボンを用いたPCやHシリーズプロセッサーを搭載しているPCを洗い出しました。最終的に、カーボンであれば全面採用の有無や立体成型を確認、プロセッサーは重量を一つひとつ調べていきます。ただ、全面採用は一般消費者向けのウェブページには記載がなく、1面なのか全面なのかの判定ができませんでした。そのため、仕様書や製品のレビュー記事の参照や、メーカーにメールや電話で問い合わせて公式回答を取得するといった複数の調査方法を併用しました。

ー 案件の中で最も難しかったことをお聞かせください。

保木 本社所在地が長野ということやコロナ禍の影響もあり、完全非対面で案件を進行したことです。非対面ゆえのミスコミュニケーションが起きないよう、案件開始から週1で進捗を細かく報告しながら進めさせていただきました。

「世界初」をフックに3社のテレビ露出が実現。技術者の自信にも

ー 調査報告書に対する感想をお聞かせください。

渡辺 最終的にいただいた調査報告書は満足できるもので、期待値通りのアウトプットでした。裏取りもされており、マーケティングとしてだけでなく、お客様からお問い合わせがあった際にも自信を持ってお答えできる内容になっていたと思います。

ー マーケティングで「世界初」を謳うことによって、どのような効果がありましたか。

渡辺 大きな効果が3つありました。1つ目は3つのテレビ番組を含む数多くのメディアにて「世界初」を見出しに前面に出して紹介いただけたことです。成熟したノートPC業界では、新しい製品が発売されても、革新的な特長を打ち出せなければ、テレビなど影響力の大きいメディアで取り上げていただくことは困難です。
メディア側にとって、フルカーボンボディという価値はなかなか伝えづらいところがあったと思います。実際に触れてみないとその強靭さ、軽さが実感できないからです。しかし「世界初」という客観的な革新性を示せたことで興味を持っていただき、その点をフックにした発信につなげることができました。
2つ目は、ユーザーの国に縛られない価値の訴求ができたということです。今回の製品発表は、同時刻で全世界に向けたオンライン配信で行うという弊社初の取り組みでした。「VAIO Z」はグローバルフラッグシップモデルであるため、日本に限らず、さまざまな国の方に情報を届ける必要がありました。その場合、「日本初」だと日本のユーザーにしか訴求できませんので、他の国のユーザーに対する価値訴求が弱くなってしまいます。しかし、「世界初」はどの国にとっても価値のあることであり、同時発表という形で全世界にアピールができました。
3つ目は、「VAIO Z」が本当に世界初を成し遂げた製品であることを証明したことで、技術者を始めとした弊社社員の自信につながったことです。企画・開発の段階から社員全員が素晴らしい製品だと信じて設計・製造し、マーケティング活動を実施してきました。
今回、「世界初」であるという証明がなされたことで、「我々は世界に通じるものを作り出せるんだ」という強い自信につながり、次のステップへ挑戦できる雰囲気を作り出せたと思います。

「VAIO Z」から、世界中の挑戦に火をともしていく

ー 今後の展望についてお聞かせください。

渡辺 「VAIO Z」が弊社のフラッグシップとして、我々の持つ技術力とデザイン力を世の中や市場にしっかりお伝えしていきます。また、「VAIO Z」が示した価値を下地に今後も新たな製品・サービスを開発していく予定です。
「挑戦に火をともそう。」というブランドミッションは、私たちだけのものではありません。世界中の人々の挑戦を、ノートPCや様々な製品・サービスで手助けし、一緒に挑戦していきたいと考えています。
ステラアソシエとは、今回は製品化した段階でのお取り組みでしたが、我々はPC以外の新規事業を立ち上げていく必要もあります。新規事業開発に強い会社と聞いていますので、今度はゼロイチのフェーズでもご一緒したいですね。

ー ありがとうございました。

シャープのチャレンジ精神から生まれた業界No.1輝度のAQUOS R6。その裏にステラアソシエの「ファーストテックサーチ」あり

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シャープ株式会社 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 担当部長 楠田 晃嗣 氏
シャープ株式会社 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 主任 田中 陽平 氏
ステラアソシエ株式会社 代表取締役社長 保木 佑介

国内のAndroidスマートフォン市場で、年間販売台数トップを4年連続で走り続ける株式会社シャープ。2021年6月に発売されたフラッグシップモデル「AQUOS R6」は、高性能カメラと「業界最高」の最大輝度を誇る​​有機ELディスプレイが大きな話題となり、さまざまなメディアで取り上げられた。

ディスプレイの「業界最高」に込めた開発の思いとこだわり、そしてNo.1調査を行なうパートナーとしてなぜステラアソシエを選んだのか。通信事業本部パーソナル通信事業部の楠田氏と田中氏の両名にお話を伺った。

シャープのチャレンジスピリットから生まれた「AQUOS Rシリーズ」

ー 貴社の通信事業本部についてお聞かせください。

楠田 広島を中心に千葉・東京を拠点とし、国内向け・海外向けのスマートフォンに代表されるモバイル通信端末事業、国内向け携帯電話のアフターサービス事業などを展開しています。私たちの商品企画部では、「真似される商品をつくれ」という創業者、早川徳次のチャレンジスピリットを受け継ぎ、業界初・国内初・世界初となる商品や技術を開発し、世に送り出してきました。

私と田中は、通信事業本部パーソナル通信事業部という、スマートフォンを手掛けている部署で「AQUOS Rシリーズ」の商品企画を担当しています。

ー 「AQUOS Rシリーズ」についてお聞かせください。

田中  「AQUOS Rシリーズ」は、弊社が手掛けるスマートフォンにおけるフラッグシップモデルと位置付けており、最高峰のスペックを追求するために数多くの機能を搭載してきました。そのブランドネームに冠された「R」には4つの意味を込めています。

Reality(リアリティ)…臨場感のある映像美
Response(レスポンス)…なめらかで俊敏なレスポンス
Robotics(ロボティクス)…人工知能がかしこくサポート
Reliability(リライアビリティ)…長く使える信頼性

このRシリーズの最新モデルとして2021年6月にリリースされた商品が「AQUOS R6」になります。

「業界最高」の輝度を誇る、IGZOの有機ELディスプレイ

ー 「AQUOS R6」の特徴についてお聞かせください。

田中 「AQUOS R6」では、これまでの「Rシリーズ」から大きく路線を切り替え、新しく生まれ変わった「R」を目指しました。そこで新たなコンセプトに「Reborn(リボーン)」を据え、ドイツの名門カメラメーカーであるライカが監修した本格画質のカメラの実装を始め、ディスプレイ、デザインの刷新を行いました。
ブランドの刷新を行なった背景には、ハイエンドスマートフォン市場のボリュームが現在進行系でシュリンクしているという厳しい状況があります。こうした市場環境に一石を投じるような、存在感の強い商品を出していかねばならないというミッションから、「AQUOS R6」のコンセプトは練られたのです。

ー 「AQUOS R6」のディスプレイにはどのようなこだわりがあるのでしょうか。

田中 弊社のスマートフォンでは、IGZOという液晶ディスプレイを従来から搭載してきましたが、「AQUOS R6」にはIGZOの有機ELディスプレイ(OLED)を初めて採用しました。明るさに限界がありながらも自然な色味となる液晶ディスプレイと、非常に明るい有機ELディスプレイ、それぞれの長所を掛け合わせた自然な色味でありながらとても明るいディスプレイとなっています。

ー ディスプレイが明るいと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

田中 スマートフォンの場合、テレビと違って太陽のような強い外光にさらされる環境で使用されるため、画面が強く明るくないと外で画面を見ることができません。
また、昨今では動画のスマホ視聴は一般的になってきましたが、すべての動画コンテンツの情報には最適な明るさ示す情報(輝度情報)が含まれています。この輝度情報に適した明るさを出せる画面で視聴しないと、その動画の魅力を最大限まで引き出すことはできません。
明るさを示す指標として「ニット(nit)」が使われるのですが、1,000ニットを超える機種は少ない中で「AQUOS R6」は最大2,000ニットという業界最高水準を実現しました。
このディスプレイの価値を世の中に浸透させ、しっかりお客様に伝えていくことは我々にとって非常に大事なミッションでした。

リリース直前のリサーチに課題感。取り組みの決め手は過去の実績とスピード感

ー 「ファーストテックサーチ」をご依頼いただいた背景には、どのような課題があったのでしょうか。

田中 確かに2,000ニットという数値は、すごい数字なのですが、それだけではお客様にすごさが伝わりません。特に最近は有機ELの普及したことで画面の明るさをアピールする機種が増えてきたため、鮮烈に強いメッセージを伝えることが課題になりました。そのため、「業界最高」という客観的な事実を訴求しようと考えました。
ただ、この客観的な事実を裏付けるためにリサーチを実施するには、リソースが足りず、リリーススケジュールも迫っていたのです。また、「業界最高」を裏付けるリサーチ業務を経験したこともなかったため、自分たちでリサーチして裏付けデータやレポートを作成するには時間がかかることは目に見えていました。そこで、実績のある企業にご依頼しようと考えました。

ー ステラアソシエの「ファーストテックサーチ」をお知りになったきっかけをお聞かせください。

田中 インターネット経由でお問い合わせさせていただきました。サービスページを拝見し、過去の実績やサービス内容を確認した上でご相談しています。電話でタイトなスケジュール感と要件をお伝えしたのが、ちょうとリリースの1カ月前というタイミングでした。

ー 他社サービスとの比較検討は行われたのでしょうか。

田中 4社ほどお問い合わせさせていただき、そこから比較検討を行なっています。お取り組みの予算やタイトなスケジュールでもお受けいただけること、そして、楽天モバイルさんのような通信業界での過去の実績(楽天モバイル様のテレビCM公開のお知らせ)があることを軸に評価させていただき、ステラアソシエ社にご依頼することを決定しました。
比較検討で特に重要な要素が、これまでの実績です。技術的な専門領域の込み入った調査になると推測しておりましたので、過去に実績がなければ難しいと判断しました。ステラアソシエ社はスマートフォンについての世界初調査を複数されていたこともあり、リサーチの進め方や条件定義もしっかりされていて安心してお願いできましたね。

スムーズに案件は進行し、30モデル前後を漏れなくリサーチ

保木 「AQUOS R6」の輝度が業界最高であることの裏付けを行うための要件定義は大きく2つです。1つは各社の最上位機種、いわゆるフラッグシップモデルに絞ること。輝度は基本的にハイスペックな商品ラインほど高いと判断し、下位モデルを調べる必要はないと考えました。これによって、市場に出ている商品全体の1割ほどに絞ることができます。2つ目は年代を絞ること。本モデルは2021年モデルですが、調査当時2021年モデルは発売されていないメーカーが多かったため、1年前のモデルから対象にしました。その結果、、調査対象をスマートフォンのブランド単位でおよそ30モデルに絞ることができました。要件定義を工夫することで短い期間でも、必要な情報を調べられるようにしました。
調査が始まってからは、対象機種についてメーカーの公式HPに掲載されている情報を確認していきました。輝度が記載されていないことや、別の指標で記載されていたこともありましたが、特にトラブルは起きませんでした。
調査結果をまとめたご報告書を提出したのち、その後もいくつか他社からスマートフォンがリリースされたのですが、それらも追加でご報告させていただきました。

リリース直前、5人が丸1, 2日かかるリソースを削減!

ー 調査報告書に対するご感想をお聞かせください。

田中 しっかりした調査報告書だなと思いましたね。調査の経緯や網羅的なリストを確認し、ご依頼後の流れを追うことができました。

楠田 私も調査報告書は確認しましたが、エビデンスとなる情報が充分入っている内容でした。ですので、初回に納品いただいた調査報告書で問題ないと判断し、最終納品としてそのまま受領しています。その後、調査報告書は広報やプロモーション、マーケティング担当の部署に回しています。メディア各社にリリースを送るタイミングにも間に合って、一安心でしたね。

ー メディアや消費者からの反応はいかがでしたか。

楠田 定量的に示すのは難しいのですが、記者の方も記事が書きやすかったのではないかと思います。根拠をもとに「業界最高」と記載できますので、かなり大きな効果だったのではないでしょうか。
総じて「AQUOS R6」は従来のモデルと比べて圧倒的に市場からの反響が大きかったと感じています。Twitterでのコメント投稿やガジェット系ブロガーさんの比較記事、YouTuberさんのスマートフォン比較動画も多く拝見しました。そうした比較記事や比較動画の中で、カメラやディスプレイにもしっかり言及されており、狙い通りだったと思います。

ー ご依頼いただいたことで、どの程度業務が効率化できたでしょうか。

楠田 もし社内で同じ業務を行なった場合、5人が丸1, 2日かかっていたと思いますので、そのリソースを削減することができました。そもそもリリース直前の最も忙しい時期に、そんなにリソースを割くことは不可能です。また、未経験なので、とてつもなく効率が悪いやり方しかできなかったかもしれませんね。

ー 今回の案件で高評価であったポイントをお聞かせください。

田中 案件のスピード感が最も助かったポイントです。電話でご相談してお見積もりをいただいてから納品まで、本当に短い期間でお願いしました。また、案件ご担当者の方へ何度も電話して相談したこともあり、そちらにも親身にご対応いただけたこともありがたかったです。

次回のフラッグシップモデルでも「業界最高」を追求していく

ー 今後の展望についてお聞かせください。

田中 今回の「AQUOS R6」は本当に市場からの反響もよく、「生まれ変わったAQUOS」としてお客様に受け入れられつつあると感じています。次回のフラッグシップモデルの開発においても、胸を張って「業界最高」と誇れる機能を追求していきたいです。その際にもしっかり裏付けを行なっていく必要がありますので、またお願いできればと思います。

楠田 案件のスピード感もそうですが、要望に応じてフレキシブルに対応いただけるサービスのニーズはすごくあると思っています。メーカーの業界は競争も激しく、調査もどんどんタイムリーにアップデートしていかなければ追いつきません。我々メーカーからしてみれば、ステラアソシエ社のようなパートナーはありがたい存在だと感じておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ー ありがとうございました。