日産化学株式会社様 事例インタビュー

「決裁者から得られる、『本当のニーズ』こそが重要です」老舗材料メーカー、日産化学の「キーマンアクセス」の活用事例

2021年の大河ドラマで話題の渋沢栄一氏らが創業した、日本初の化学肥料製造会社をルーツにもつ日産化学株式会社。有機化学合成の技術力を強みに、既存分野に縛られない新しい市場へも積極的に参入している。

同社では成長著しいスマートフォン市場へも展開しており、そのニーズ調査にステラアソシエの「キーマンアクセス」をご活用いただいた。ご依頼の背景やお取り組みの詳細、そして今後の展望について、2人のご担当者様にお話を伺った。

【写真左から】
ステラアソシエ株式会社 代表取締役社長 保木 佑介
日産化学株式会社 企画本部 情報通信材料開発部 藤本 修 様
日産化学株式会社 知的財産部 大成 正寿 様

目次

日本初の化学肥料メーカーとして創業した日産化学

ー 貴社の事業内容をお聞かせください。

藤本 弊社の前身となる会社は、日本初の化学肥料製造会社として渋沢栄一が明治20年に創業しました。現在は化学肥料の事業から派生したさまざまな製品開発を手掛けており、これまで培われてきた有機化学合成の技術力を強みとしています。具体的には、化学品や機能性材料、農業化学品(農薬、動物用医薬品)などの製品開発が中心です。

今回のお取り組みに関わってくる分野は機能性材料でして、さまざまな電子デバイスに向けた電子材料の開発、製造を行っています。なかでもディスプレイ材料や半導体材料では一定のシェアを持たせていただいており、弊社にとっても重要な事業の柱です。

昨今のIoTや5G通信の市場立ち上がりが期待されるなか、私の所属部署では次の柱となる新規事業を見つけるため、企画開発に注力しております。一部の案件にはこれまで我々がコンタクトしていた顧客とは異なる業界をターゲットとしている場合があり、まずはそのターゲット業界のリサーチが必要となるケースが出てきたのです。

従来のリサーチ手法では、「本当のニーズ」に辿り着けないことも

ー これまで貴社ではどのようなリサーチをされてきたのでしょうか。

大成  大手シンクタンクさんが出されているリサーチ情報を参考にしています。高額な費用がかかりますが、技術分野で経験がある専門家やコンサルタントを雇う場合もありますね。しかし、直接顧客から伺う情報とは方向性が違うため、お客様の「本当のニーズ」に辿り着けないことも珍しくありません。

ー 今回のお取り組みの背景には、どのような課題があったのでしょうか。

藤本 これまでのリサーチ業務を行うだけでは表に出てこない情報、つまり「本当のニーズ」が得られないことは課題でした。例えば、業界の最新トレンドやどのくらいの需要が見込まれるか、見込み顧客の社内でアプローチするべき部署、そしてキーマンについての情報もなかなか手に入りません。我々は業界のインサイダーではないため、最新の事情に精通したメーカーさんのキーマンに直接お話を伺う必要があると感じました。

大成 まだまだ新しい市場であるため、一般的な情報だけで開発してもなかなか成果にはつながりません。実際の現場にいるキーマンの声とニーズを掴む必要があります。しかし、私たちにはメーカーさんのキーマンとのお付き合いがなく、コンタクトできませんでした。どうしたらキーマンとつながれるか、非常に悩んでいたのです。

決裁権をもつキーマンからニーズを収集したほうが効率がよいと判断

ー どのようなきっかけでステラアソシエをお知りになられたのでしょうか。

大成 インターネットで検索し、代表の保木さんの記事を読んだことがきっかけです。(化学メーカー研究開発者必見!!新規事業立ち上げの成功確度を上げる方法)知財部では社内の技術を有効活用する方法を日々考えておりまして、技術の用途開発を調べる中で記事に出会いました。今回のキーマンアクセスではなく、当初は材料の用途開発についてご相談するつもりでご連絡しましたが、お話を伺う中でキーマンアクセスというサービスを知り、こちらのほうが弊社の課題に合致していると考えたのです。

ー 他社比較は行われたのでしょうか。

大成 知財部で比較検討は実施しました。確認した限り、今回の要件にあうニーズ収集サービスを提供されている企業は、ステラアソシエ社を含め2社でした。キーマンへアプローチしようとする場合、まずは研究開発部門の研究者からニーズを収集する手段もあると思います。

ただ、特に本案件のように、事業に関する決裁権を持つキーマンは、研究者ではなく事業部門内の技術者や調達担当者の場合が多いです。そうした事業部門で技術に詳しいマネージャークラスにアクセスし、直接ニーズを収集できることが決め手となり、2社を比較検討してステラアソシエ社に正式にご依頼することになりました。

また、案件をご相談した際に、こちらの意図を反映した形で技術の用途やターゲット業種の仮説を立案いただいた上でヒアリングシートを作成いただいたことも高印象でした。

保木 ステラアソシエは、アメリカや中国、東南アジアを含む30万人を超すネットワークがあり、そのネットワークを活かして国内外の多岐に渡るエキスパート、キーマンをご紹介しています。本案件ではグローバルシェアが高いスマホメーカーが対象でしたが、グローバル企業や通信領域には豊富なネットワークがありますので、問題なくキーマンにアプローチができました。

回数を重ねるごとに精度が上がったヒアリング

ー キーマンアクセスのお取り組みについて、詳細をお聞かせください。

保木 キックオフからレポートでのご報告まで、3.5ヶ月で完了しました。ターゲット業界においてコンタクトされたい企業はすでに4社まで絞られていましたので、我々がプランニングしたのはどの部署の、どのレベルのキーマンに、どのようなお話を伺うのか、という項目です。

コンタクト対象の選定は、弊社の過去プロジェクトの経験や名刺交換をさせていただいた方、Web会議やセミナーでお会いした方のリストをベースにしています。また、弊社と提携している、特定の業界や地域に特化した海外のパートナー企業にも依頼し、ヒアリングの場をセッティングしていただくこともありました。

藤本 実際のヒアリングには私も立ち会わせていただきました。ヒアリングは我々の意図を汲んだ内容となっており、また回数を重ねていく中で、お聞きする内容がどんどん充実していくなと感じましたね。当然、ステラアソシエ社はこの分野に精通している訳ではないのですが、しっかり勉強されたのだな、と。最終回のヒアリングでは、今までのヒアリング内容が反映されたものになっており、素晴らしいものでした。

保木 今回の案件では、IoTや5G関連の電子材料についての情報をキャッチアップさせていただきました。その際、技術者目線のキャッチアップではなく、あくまでビジネス的な判断に必要な情報を調べるように工夫しています。

スピード感、海外企業へのコンタクト、「本当のニーズ」が掴めたことが高評価

ー レポート内容に対するご感想をお聞かせください。

藤本 レポート内容はキックオフ時のイメージにとても近いものです。当初よりいくつかの仮説を立てており、想定通りの回答が得られた部分もあれば、今まで想定できていなかった新しい情報もありました。

また、業界のスタンダードを作っているトップクラスの企業のキーマンだったことも良かった点です。当初より希望していたグローバル市場で圧倒的なシェア率をもつ海外のスマートフォンメーカー首位2社へピンポイントにアポイントを取っていただきました。上辺だけの調査データではなく、キーマンに伺ったからこそ得られる深ぼられた情報は、それぞれの企業の事情やニーズに裏付けされたものであり、非常に納得感のあるものだったと考えています。

ー 社内からの評価はいかがでしょうか。

大成 顧客の本当のニーズが掴めたこと、海外企業でもコンタクトできたこと、プロジェクトのスピード感の3つが特に社内では高評価でした、レポートは研究開発チームにも回しておりまして、社内からの評価が高かったからこそ、すでに別分野の案件も追加で2件ご依頼しております。

また、開発スピードを上げるためにもニーズ調査を速く、正確に行うことが重要です。コロナ禍で展示会やセミナーがしにくくなったことでニーズを把握することが一層難しくなったこの状況では、市場におけるキーマンの声はますます貴重になったと感じています。

キーマンアクセスでニーズを掴み、新しい市場を攻めていく

ー 今後の展望についてお聞かせください。

藤本 今回のキーマンアクセスでは、ニーズのヒアリングが中心でした。今後はお客様に「その材料があれば欲しい」と感じていただけるデータを揃えた上で、再度ニーズの有無を確かめていきたいですね。

我々、材料メーカーは地続きの技術で横展開していくこともあれば、全く経験のない分野を、新たな材料で攻めていくこともあります。今回の案件は後者にあたるのですが、こうしたビジネス展開は当たり外れがあるものの、積極的に新しい市場へ攻めていくことが重要なのです。

大成 今後も、新規事業を進めていく上で積極的にキーマンとつながっていきたいと考えています。特に今後、中国や台湾の顧客は重要な存在です。材料メーカーにとっては巨大な中国市場でいかに展開していくかが課題になり、そこでもキーマンとつながっていくことはより重要になっていきます。

藤本 ステラアソシエ社には引き続き、キーマンアクセスや新規事業周りでご一緒できると嬉しいです。

ー ありがとうございました。

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