シャープ株式会社様 事例インタビュー

シャープのチャレンジ精神から生まれた業界No.1輝度のAQUOS R6。その裏にステラアソシエの「ファーストテックサーチ」あり

国内のAndroidスマートフォン市場で、年間販売台数トップを4年連続で走り続ける株式会社シャープ。2021年6月に発売されたフラッグシップモデル「AQUOS R6」は、高性能カメラと「業界最高」の最大輝度を誇る​​有機ELディスプレイが大きな話題となり、さまざまなメディアで取り上げられた。
ディスプレイの「業界最高」に込めた開発の思いとこだわり、そしてNo.1調査を行なうパートナーとしてなぜステラアソシエを選んだのか。通信事業本部パーソナル通信事業部の楠田氏と田中氏の両名にお話を伺った。

【写真左から】
シャープ株式会社 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 担当部長 楠田 晃嗣 氏
シャープ株式会社 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 主任 田中 陽平 氏
ステラアソシエ株式会社 代表取締役社長 保木 佑介

目次

シャープのチャレンジスピリットから生まれた「AQUOS Rシリーズ」

ー 貴社の通信事業本部についてお聞かせください。

楠田 広島を中心に千葉・東京を拠点とし、国内向け・海外向けのスマートフォンに代表されるモバイル通信端末事業、国内向け携帯電話のアフターサービス事業などを展開しています。私たちの商品企画部では、「真似される商品をつくれ」という創業者、早川徳次のチャレンジスピリットを受け継ぎ、業界初・国内初・世界初となる商品や技術を開発し、世に送り出してきました。

私と田中は、通信事業本部パーソナル通信事業部という、スマートフォンを手掛けている部署で「AQUOS Rシリーズ」の商品企画を担当しています。

ー 「AQUOS Rシリーズ」についてお聞かせください。

田中  「AQUOS Rシリーズ」は、弊社が手掛けるスマートフォンにおけるフラッグシップモデルと位置付けており、最高峰のスペックを追求するために数多くの機能を搭載してきました。そのブランドネームに冠された「R」には4つの意味を込めています。

Reality(リアリティ)…臨場感のある映像美
Response(レスポンス)…なめらかで俊敏なレスポンス
Robotics(ロボティクス)…人工知能がかしこくサポート
Reliability(リライアビリティ)…長く使える信頼性

このRシリーズの最新モデルとして2021年6月にリリースされた商品が「AQUOS R6」になります。

「業界最高」の輝度を誇る、IGZOの有機ELディスプレイ

ー 「AQUOS R6」の特徴についてお聞かせください。

田中 「AQUOS R6」では、これまでの「Rシリーズ」から大きく路線を切り替え、新しく生まれ変わった「R」を目指しました。そこで新たなコンセプトに「Reborn(リボーン)」を据え、ドイツの名門カメラメーカーであるライカが監修した本格画質のカメラの実装を始め、ディスプレイ、デザインの刷新を行いました。
ブランドの刷新を行なった背景には、ハイエンドスマートフォン市場のボリュームが現在進行系でシュリンクしているという厳しい状況があります。こうした市場環境に一石を投じるような、存在感の強い商品を出していかねばならないというミッションから、「AQUOS R6」のコンセプトは練られたのです。

ー 「AQUOS R6」のディスプレイにはどのようなこだわりがあるのでしょうか。

田中 弊社のスマートフォンでは、IGZOという液晶ディスプレイを従来から搭載してきましたが、「AQUOS R6」にはIGZOの有機ELディスプレイ(OLED)を初めて採用しました。明るさに限界がありながらも自然な色味となる液晶ディスプレイと、非常に明るい有機ELディスプレイ、それぞれの長所を掛け合わせた自然な色味でありながらとても明るいディスプレイとなっています。

ー ディスプレイが明るいと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

田中 スマートフォンの場合、テレビと違って太陽のような強い外光にさらされる環境で使用されるため、画面が強く明るくないと外で画面を見ることができません。
また、昨今では動画のスマホ視聴は一般的になってきましたが、すべての動画コンテンツの情報には最適な明るさ示す情報(輝度情報)が含まれています。この輝度情報に適した明るさを出せる画面で視聴しないと、その動画の魅力を最大限まで引き出すことはできません。
明るさを示す指標として「ニット(nit)」が使われるのですが、1,000ニットを超える機種は少ない中で「AQUOS R6」は最大2,000ニットという業界最高水準を実現しました。
このディスプレイの価値を世の中に浸透させ、しっかりお客様に伝えていくことは我々にとって非常に大事なミッションでした。

リリース直前のリサーチに課題感。取り組みの決め手は過去の実績とスピード感

ー 「ファーストテックサーチ」をご依頼いただいた背景には、どのような課題があったのでしょうか。

田中 確かに2,000ニットという数値は、すごい数字なのですが、それだけではお客様にすごさが伝わりません。特に最近は有機ELの普及したことで画面の明るさをアピールする機種が増えてきたため、鮮烈に強いメッセージを伝えることが課題になりました。そのため、「業界最高」という客観的な事実を訴求しようと考えました。
ただ、この客観的な事実を裏付けるためにリサーチを実施するには、リソースが足りず、リリーススケジュールも迫っていたのです。また、「業界最高」を裏付けるリサーチ業務を経験したこともなかったため、自分たちでリサーチして裏付けデータやレポートを作成するには時間がかかることは目に見えていました。そこで、実績のある企業にご依頼しようと考えました。

ー ステラアソシエの「ファーストテックサーチ」をお知りになったきっかけをお聞かせください。

田中 インターネット経由でお問い合わせさせていただきました。サービスページを拝見し、過去の実績やサービス内容を確認した上でご相談しています。電話でタイトなスケジュール感と要件をお伝えしたのが、ちょうとリリースの1カ月前というタイミングでした。

ー 他社サービスとの比較検討は行われたのでしょうか。

田中 4社ほどお問い合わせさせていただき、そこから比較検討を行なっています。お取り組みの予算やタイトなスケジュールでもお受けいただけること、そして、楽天モバイルさんのような通信業界での過去の実績(楽天モバイル様のテレビCM公開のお知らせ)があることを軸に評価させていただき、ステラアソシエ社にご依頼することを決定しました。
比較検討で特に重要な要素が、これまでの実績です。技術的な専門領域の込み入った調査になると推測しておりましたので、過去に実績がなければ難しいと判断しました。ステラアソシエ社はスマートフォンについての世界初調査を複数されていたこともあり、リサーチの進め方や条件定義もしっかりされていて安心してお願いできましたね。

スムーズに案件は進行し、30モデル前後を漏れなくリサーチ

保木 「AQUOS R6」の輝度が業界最高であることの裏付けを行うための要件定義は大きく2つです。1つは各社の最上位機種、いわゆるフラッグシップモデルに絞ること。輝度は基本的にハイスペックな商品ラインほど高いと判断し、下位モデルを調べる必要はないと考えました。これによって、市場に出ている商品全体の1割ほどに絞ることができます。2つ目は年代を絞ること。本モデルは2021年モデルですが、調査当時2021年モデルは発売されていないメーカーが多かったため、1年前のモデルから対象にしました。その結果、、調査対象をスマートフォンのブランド単位でおよそ30モデルに絞ることができました。要件定義を工夫することで短い期間でも、必要な情報を調べられるようにしました。
調査が始まってからは、対象機種についてメーカーの公式HPに掲載されている情報を確認していきました。輝度が記載されていないことや、別の指標で記載されていたこともありましたが、特にトラブルは起きませんでした。
調査結果をまとめたご報告書を提出したのち、その後もいくつか他社からスマートフォンがリリースされたのですが、それらも追加でご報告させていただきました。

リリース直前、5人が丸1, 2日かかるリソースを削減!

ー 調査報告書に対するご感想をお聞かせください。

田中 しっかりした調査報告書だなと思いましたね。調査の経緯や網羅的なリストを確認し、ご依頼後の流れを追うことができました。

楠田 私も調査報告書は確認しましたが、エビデンスとなる情報が充分入っている内容でした。ですので、初回に納品いただいた調査報告書で問題ないと判断し、最終納品としてそのまま受領しています。その後、調査報告書は広報やプロモーション、マーケティング担当の部署に回しています。メディア各社にリリースを送るタイミングにも間に合って、一安心でしたね。

ー メディアや消費者からの反応はいかがでしたか。

楠田 定量的に示すのは難しいのですが、記者の方も記事が書きやすかったのではないかと思います。根拠をもとに「業界最高」と記載できますので、かなり大きな効果だったのではないでしょうか。
総じて「AQUOS R6」は従来のモデルと比べて圧倒的に市場からの反響が大きかったと感じています。Twitterでのコメント投稿やガジェット系ブロガーさんの比較記事、YouTuberさんのスマートフォン比較動画も多く拝見しました。そうした比較記事や比較動画の中で、カメラやディスプレイにもしっかり言及されており、狙い通りだったと思います。

ー ご依頼いただいたことで、どの程度業務が効率化できたでしょうか。

楠田 もし社内で同じ業務を行なった場合、5人が丸1, 2日かかっていたと思いますので、そのリソースを削減することができました。そもそもリリース直前の最も忙しい時期に、そんなにリソースを割くことは不可能です。また、未経験なので、とてつもなく効率が悪いやり方しかできなかったかもしれませんね。

ー 今回の案件で高評価であったポイントをお聞かせください。

田中 案件のスピード感が最も助かったポイントです。電話でご相談してお見積もりをいただいてから納品まで、本当に短い期間でお願いしました。また、案件ご担当者の方へ何度も電話して相談したこともあり、そちらにも親身にご対応いただけたこともありがたかったです。

次回のフラッグシップモデルでも「業界最高」を追求していく

ー 今後の展望についてお聞かせください。

田中 今回の「AQUOS R6」は本当に市場からの反響もよく、「生まれ変わったAQUOS」としてお客様に受け入れられつつあると感じています。次回のフラッグシップモデルの開発においても、胸を張って「業界最高」と誇れる機能を追求していきたいです。その際にもしっかり裏付けを行なっていく必要がありますので、またお願いできればと思います。

楠田 案件のスピード感もそうですが、要望に応じてフレキシブルに対応いただけるサービスのニーズはすごくあると思っています。メーカーの業界は競争も激しく、調査もどんどんタイムリーにアップデートしていかなければ追いつきません。我々メーカーからしてみれば、ステラアソシエ社のようなパートナーはありがたい存在だと感じておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

ー ありがとうございました。

担当コンサルタント
保木 佑介

RPAホールディングスにて、大手製造業が保有するR&D技術の出口探索を中心に、100以上の新規事業プロジェクトに従事(主な担当業界は化学とSIer)。2018年3月、RPAホールディングスのマザーズ上場を機として、同5月にステラアソシエを創業。2020年、No.1を証明する「ファーストテックサーチ」をリリースし、テレビCM等の根拠データとして利用される。その後、No.1調査の有識者としてNHK「クローズアップ現代」などに出演。

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