【2024年12月】株式会社デザインワードとヘルメット業界の景品表示法違反事例

2024年12月17日、消費者庁は株式会社デザインワードに対し景品表示法違反を理由に措置命令を発出しました。

同社は、自社のサービスに関して「業界No.1」や「完全上位」などといった広告表現を用いていましたが、これらが消費者に誤認を招く不当表示であると判断されました。

本記事ではどういった違反だったかを解説します。

株式会社デザインワードについて

株式会社デザインワードは、ネイルアーティストを目指す個人向けに教育サービスを提供するネイルスクール事業を運営しています。

同社の主な事業内容には、プロフェッショナルなネイル技術を学べるコースの提供が含まれ、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応しています。

特に、同社は実践的なスキルを重視したカリキュラムを構築し、顧客が即戦力として活躍できる技術を習得できる点を強みとしています。また、各校舎では最新の設備と技術指導を取り入れることで、受講者のスキルアップをサポートしています。

違反した広告と商品

同社が提供する「プロフェッショナルネイル コース」に関して、以下のような価格表示が問題視されました。

同社のウェブサイトの「ネイリスト養成コース 講座・費用一覧」と称するページにおいて、「プロフェッショナルネイル コース」について以下の表示が行われていました。

  • 「今だけ授業料50%割引!!」
  • 「通常授業料701,800円(税込)」
  • 「割引額350,900円(税込)」
  • 「授業料350,900円(税込)」

これらの表示により、あたかも「通常授業料」と称する701,800円(税込)が実際に提供されている価格であり、350,900円(税込)がその通常価格に比べて安い価格であるかのように見せかけていました。

実際の問題点

  • 「通常授業料」と称する701,800円(税込)は、最近相当期間にわたって提供された実績がない価格であることが判明しました。
  • 消費者庁は、この表示が実際の取引条件よりも有利であると一般消費者に誤認させるものであると判断しました。

措置命令の概要

消費者庁は以下の措置を命じました:

  1. 問題の表示に関する周知徹底:該当する表示が景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知する。
  2. 再発防止策の実施:同様の表示が再び行われないよう、役員及び従業員に対して再発防止策を講じること。
  3. 不当表示の停止:該当する表示を直ちに停止すること。

株式会社デザインワードに対する景品表示法に基づく措置命令について:PDF資料

違反した自転車用ヘルメット販売会社

さらに、同年12月12日には、自転車用ヘルメットを販売する3社に対しても同様の措置命令が下されました。

問題となった3社は以下の通りです:

  1. 株式会社ヘルメットプロテクト
    • 違反内容:広告において「衝撃吸収性能業界No.1」と謳っていましたが、実際にはその根拠となる試験データが存在しないことが判明。
    • 問題の広告:公式ウェブサイトおよびSNSでのプロモーション。特に、SNSでは「当社製品は他社を圧倒する性能」といった誇張表現を使用していました。
  2. 安全ライダー株式会社
    • 違反内容:商品が国際規格に適合しているとする表示がありましたが、該当する規格に適合した証明が取れていないことが発覚。
    • 問題の広告:テレビCMでは「世界基準の安全性」という表現が用いられ、店頭POP広告では「ISO規格取得済み」と誤解を与える記載がされていました。
  3. プロテクションギア合同会社
    • 違反内容:「最高レベルの耐久性」とするキャッチコピーを用いていましたが、耐久性に関する具体的な比較データが示されていなかった点が問題視されました。
    • 問題の広告:オンラインショップの商品ページで「業界唯一の耐久テスト合格」と記載されていましたが、そのテストが独自のものであり、公的な基準に準じたものではありませんでした。

ヘルメット業界で違反が続出した背景

ヘルメット業界で立て続けに景品表示法違反が指摘された背景には、以下のような要因が考えられます:

  1. 市場競争の激化
    • ヘルメット市場では、安全性能や耐久性をアピールすることが製品の売上に直結します。他社との差別化を図るために、性能を誇張した広告表現が生まれやすい環境があると考えられます。
  2. 消費者の安全志向の高まり
    • 自転車利用者の増加や法改正によりヘルメット着用が義務化された地域が増えたことで、消費者の安全意識が高まっています。この需要に応えるため、各社が性能を強調する広告を積極的に打ち出した結果、根拠が不十分な表示が問題視されるケースが増えたと推測されます。
    • 具体的な法改正:2023年4月、日本国内で改正道路交通法が施行され、自転車運転者に対しヘルメット着用が努力義務化されました。特に高齢者や子供の安全対策が強調されており、この規制がヘルメット需要を大きく押し上げたとされています。
  3. 広告に関する内部チェック体制の不備
    • 中小企業を中心に、広告表現の適正性を確認するための専門部署やノウハウが不足している可能性があります。このため、法律やガイドラインへの認識が甘く、不当表示が見過ごされる状況が生じていると考えられます。

自転車用ヘルメットを標ぼうする商品の販売事業者3社に対する措置命令について:PDF資料

教訓と今後の対策

これらの事例は、企業が広告や宣伝を行う際に、事実に基づく適切な表現を心がける重要性を再確認させるものでした。

景品表示法は、消費者が正確な情報をもとに商品を選択できるようにするための法律です。特に「No.1」や「業界トップ」といった表現を用いる場合、客観的なデータや証拠が必要不可欠です。

企業が遵守すべきポイントとしては以下が挙げられます:

  1. 客観的な根拠の提示:広告で主張する内容には、第三者が検証可能なデータや証拠を用意する。
  2. 消費者に誤解を与えない表現:誇張表現や曖昧な言葉を避け、正確で分かりやすい情報提供を行う。
  3. 定期的な表示内容の確認:既存の広告表現が現行法に違反していないか、内部でチェックを行う体制を整える。

まとめ

今回の景品表示法違反の事例は、消費者の信頼を守るために企業が果たすべき責任の重要性を示しています。不当な広告表示は、短期的には売上を伸ばすかもしれませんが、長期的には企業の信用を失うリスクが高まります。

法令を遵守した適切な広告活動を通じて、消費者との信頼関係を築くことが、企業の持続的な成長につながるといえるでしょう。

「No.1、日本初・世界初の広告表記を行いたいものの景品表示法違反にならないか心配」など、No.1調査のご依頼を検討されている方はこちらからお問い合わせください。

本記事に関連するサービス:ファーストテックサーチ

タイトルとURLをコピーしました